ここ数日、昼間のスーパーに買い物へ出かけると、子ども達を見かけることが多くなった。
「何々、学校行事の代休?」なんて思っていたら、世の中はすっかり夏休みに入っていることに気がついた。
私にとっての「夏休みの思い出」は‥宿題でも、絵日記でも、自由研究でもなく‥『円グラフ』なのだ。
夏休み前の苦悩
私の小学生時代。
一学期の終わりが近づくと、学年をあげて夏休みへの準備がスタート。
夏休みの生活における注意や、学校プールの開放スケジュールなどが、わら半紙にプリントされて配布される。
その後、ぱっと見はカラー印刷が鮮やかで上質な用紙が使われた、ちょっと素敵な外見に騙されてしまう夏休みの宿題ドリルも配られた。
そして、ここからが苦悩の始まりだ。
苦悩と言うのは「夏休みの宿題ドリルが八月末までにできるかな。」とか、「自由研究の題材を見つけなければいけない。」とかではない。
私の一番の悩みの種は、「夏休みの過ごし方を円グラフで作りましょう。」というヤツだった。
この円グラフ。
どんな時間軸で一日を過ごすかを自分で決めるという、規則正しい生活を送るためのベースづくり、いや、大人たちによる誘導&刷り込みのようなもの。
これがどうも苦手だった。
円グラフ作成はムズカシイ
同級生たちは、着々と円グラフを作成していく中、どうも作成が進まない私。
「ラジオ体操に行くことを考えると、この時間には起きないといけないな。」
「午前中は勉強することにして・・・あぁ~、でも午前中は眠いだろな~。」
「午後は、とりあえず“遊び”は入れとかないとなぁ~。でも、友達の予定もあるし、毎日、同じ時間に遊ぶのは無理やろ。」
「プールの日は、別の円グラフが必要やん。」
とりあえずは作ってみるのだが、よくよく考えると実現不可能な計画。
というのも、実家は美容院で、一日の食事の時間は、お客様の少ないタイミング。要するに、朝ごはん以外は、定まった時間に食べることがままならない。
色々なパターンを想定しつつ円グラフを作ってみるものの、時間の割り振りを考える段階で、すでに計画は破綻。そもそも、円グラフで時間を区切ることに無理があると感じてくる。
結局、なんとなくで仕上げた“夏休みの過ごしかた円グラフ”は、計画どおり遂行されることは、ほぼ無かった。まさに絵に描いた餅。
むなしい、夏休みの過ごしかた円グラフ
ただ、親のコントロールの下、夏休みの宿題は着々とこなし、八月末に泣きながら宿題を仕上げることは無かったのが救いだったと思う。
最近の小学生はどうなの?
「最近の小学生はどうなの?まだ、時間割の円グラフとか作っているのかな?」と思い、検索してみたところ、まだ時間割の円グラフは存在しているようだ。
プリンターメーカーが、ユーザー向けに「一日や一週間の計画が書き込める、夏休み計画表テンプレート」みたいなものを提供しているのも発見した。さらに、時間と項目を入力すると、勝手に円グラフを作成してくれるサービスまである。
これなら「前日に明日の予定を作成する」など、フレキシブルに変えることも可能。急な予定が入った時も、すいすいと対応できる。
まさに、一日の過ごし方を自分で決める、という計画性まで養えそうな気配。
また、「円スケジュールカレンダー」というスマートフォンアプリもあるようだ。予定の何分前になったら知らせてくれる通知機能付き。
親から「あんた、もうそろそろ宿題する時間やで。勉強しぃや~!」と言われるよりも、「宿題開始時間10分前です。勉強の準備を始めてください。」とスマートフォンに言われる方が、イラっと度合いが少ない気がするのは私だけだろうか?
当時、こんなアプリケーションを使えていたら、夏休みの宿題はもっと捗ったに違いない。なかったからこそ、言える話。
大人になっても、円グラフにおさまらない系
小学生時代の体験からかどうかは定かでないが、今でも時間割円グラフはどうも苦手だ。
思えば、私のこれまでの人生、規則正しい生活からかけ離れている。
ゲーム開発の会社員時代は、納期に合わせての生活なので、一日の勤務時間はおろか、休みも流動的。夏季休暇・お盆休みも、記憶にない。
そして、自営業をはじめて、曜日を感じるのは‥コンサートとゴミ出しの日くらい。
「今年の夏は、小学生の頃の気持ちにかえって、時間管理をやってみるか?早起き&午前中に仕事をぱぱっと片付ける時間割を作ってみよう。とりあえず6時に起床して、ラジオ体操から始めて・・・」なんて想像してみるも、根っからの夜型人間には出来る気配はない。
人には、規則正しい生活を送る人と、そうでない人がいるような気がする。
決まった流れを繰り返すことで安心できる人と、それが難しい人。仕事や環境によると思うけれど、それも自分の選択だし、私にとっては、ある程度は時間の“遊び”をもって、その時々に過ごし方を変えるくらいがちょうどいい。
自由で流動的な私の一日は、円グラフにはおさまらない!ということにしておこう。と、夏休みの雰囲気漂う子供たちを見ながら思い出す、私の記憶。
陽に焼けた少年よ。いい夏休みを過ごすのだぞ。