マスゲームでタタタタン

マスゲームでタタタタン

小学校時代、イトコ兄への「あこがれ」からギターを始めた。(参照:アリカワ少年とギター)
そういえば、もう一つ「あこがれ」から始めた楽器があったな、と思い出した。

運動会の花形

体育の日=10月10日だった時代に育った私。
秋に開催される運動会の出し物の中に、全校生徒が参加して行うマスゲームがあった。

マスゲームというのは、いわゆる集団行動で隊列・行進・交差などを行うもの。観覧者(保護者の方々)からの注目度も高く、運動会最大の出し物という位置づけだった。

その集団行動の動きを率いるのは、鼓笛隊。
鼓笛隊が演奏する曲に合わせて、マスゲームが進行。

鼓笛隊はマスゲームの中の花形。
運動会の花形といっても過言ではない。

アリカワ少年は、いつの間にか鼓笛隊にあこがれ「あの鼓笛隊に入りたい」と思うようになっていた。

入隊テストという名のオーディション

鼓笛隊は、六年生だけで構成される。
隊を構成する楽器は、指揮者、トランペット、大太鼓(バスドラム)、中太鼓(タム)、小太鼓(スネアドラム)、シンバル、グロッケンだ。

私が担当したい楽器は、小太鼓(スネアドラム)。
あのスナッピーの効いた「タンッ」って音が大好きだったのだ。


男子生徒の一番人気は、トランペット。
鼓笛隊といえば「なんといってもトランペット!!」という空気だったが、私は小太鼓命だったのである。

六年生の初夏。
隊員募集&入隊テストが行われた。

入隊テストの要綱は‥
応募は、一人一楽器のみ。楽器への入隊テストを実施する。

入隊テストは、その楽器への適正テストのようなもので、トランペット=マウスピースを口に当てて、うまく吹けるか?もしくは、ふける可能性があるか?大太鼓・中太鼓・小太鼓=先生がお手本に叩くリズムを聴いて、その通りに叩けるか?

そんな感じの内容だったと記憶している。

入隊テスト・傾向と対策

男子生徒一番人気のトランペットは、競争率も高い。

当時、トランペットは誰も触ったことのない楽器。
基本的な適正だけ見て、合格者は運動会までひたすら練習って感じだったと思う。

テスト当日は、トランペット部門と打楽器部門に分かれてテストが行われた。
トランペットテスト会場からは「ピーっ」「ビーっ」「フィ~~ン」という、何ともいえない音が聴こえてくる。戦いは始まった。

例年の採用傾向(※アリカワ少年のぱっと見調査より)があった。

鼓笛隊全体を見れば、男女比はだいたい同じ。
トランペットは、ほぼ全員男子なので、打楽器部門は女子比率が高くなるのだが、例外もある。

大太鼓はだいたい男子生徒が担当。
大太鼓をかついで、行進するには体力、筋力共が必須なのだ。

それ以外の打楽器部門(中太鼓・小太鼓・シンバル・グロッケン)は、女子生徒の割合が高い。なので、打楽器部門(大太鼓を除く)は、男子にとって狭き門なのである。

そんな傾向が影響しているのか、その年は打楽器部門(特に小太鼓)に男子生徒の応募が少なかった。

小太鼓のパートに応募した生徒はそれなりにいたのだが、男子生徒は私を含めて数名。

応募した生徒は活発な子が多かった。活発な生徒=落ち着きのない生徒である。テストの前から、ドラムスティックを振り回したり、机をたたいたり。

私もどちらかというと、落ち着きのない生徒に分類される。
ただし、この時は別だ。

「あこがれのあの鼓笛隊に入りたい」のである。
いつもの落ち着きのない生徒はなりをひそめ、聞き分けのいい生徒に変身していた。

一発レッドカード退場事件発生

そんなこんなしていると、審査員登場。先生一団がやってきた。


人生初のオーディション?に緊張したのか、それとも、いつもと違う雰囲気にテンションがあがっていたのか、落ち着きのない男子生徒は相変わらずドラムスティックを振り回したり、机をたたいたりしていた。

突然、事件は起こる。

「はい、そこでスティックを持っている〇〇君、〇〇君。君たちは、もう出ていきなさい。」

審査員の思いもよらぬ声に一瞬、教室は静まりかえった。

この先、集団行動&楽器演奏トレーニングの日々が待っている。「今の段階で、落ち着きのない子は退場していただく方が適切だ」と、先生が考えたかどうかは不明だが、戦いを前にして、一気に競争率が下がったのだ。

「…ラッキー…」

声には出さなかったし、その当時、そんな英単語を知っていたかどうかも怪しいが、そんな風に思ったのは間違いない。

オーディションは、先生がお手本に叩くリズムを聴いて、その通りに叩けるか?どうかだった。緊張はしたが、とりあえず次第点はあったように思う。

男女比率を考慮してか?打楽器部門も、各楽器一人は男子生徒がいた方がいいんじゃないか?という忖度があってかどうかは不明だが、無事、テストにも合格し晴れて鼓笛隊の一員になれたのである。

打楽器部門に合格した男子生徒は3名。
大太鼓1名、中太鼓1名、小太鼓1名(私ね)であった。

よく我慢したぞ私

人生初オーディションに望む緊張?からか、鼓笛隊に対する「あこがれ」からくる集中力?か、はたまた素養があったのか?!

私の分析によると、勝因は “しおらしく” みえたこと。

普段は落ち着きなく、興味の磁石でフラフラしている私(参照:興味という磁石)だが、「あこがれ」の鼓笛隊に入隊するため、しっかり周りを観察し“鼓笛隊っぽいふるまい”を意識した影響が大きいと分析している。

この経験から、この手のテストを受けるにあたっては、傾向と対策+しおらしくしておく、というのが私の中でデフォルト。

華々しい鼓笛隊デビューの運動会当日。
母は8mmビデオにその勇姿を記録してくれた。

そこには、赤白帽のつばがペコっと上にひっくり返ったコミカルな姿で懸命にたたくアリカワ少年が‥。


親戚は、そのコミカルな様相にくぎづけとなり大爆笑。
すべてがうまくはいかない、ということも‥アリカワ少年は心に刻んだのである。

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