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ワイヤレスマイク-見えない線はムズカシイ

私が音響を担当させてもらっているコンサート。演出上、ワイヤレスマイクを使用することが多い。

ワイヤレスマイクを使用するコンサートは、会場の仕様や情報を確認して、事前に担当の音響さんや舞台担当の方と打ち合わせをするという流れがある。

マイクを使うだけのに、なぜに打ち合わせが必要?と思われる方もいらっしゃるかもしれないが、色々とすり合わせしておかないといけないことがあるのだ。

ワイヤレスマイクのABC

ワイヤレスマイクとは、文字通り…

「線なし(wire less)」を意味し、線のついていないマイクのこと。

線付きマイクは、その線を通って音の信号を伝えている。ワイヤレスマイクは簡単にいうと、音信号を電波に変換して伝えている(飛ばしている)。

ワイヤレスマイクには、使用する電波の仕様により分類されており、その分類はA帯、B帯、C帯と分かれている。

A帯は、使用できるマイクも高価で、そもそも免許制。免許がないと使えないのだ。
免許といっても、マイク教習所にいくわけではなく、申請やら手続きが必要ということである。A帯を使うとなれば、まずまず高額の費用が必要となるため、放送局・大きなコンサートホール・大きな音響会社が所有していることが多い。
B帯は、免許不要。
B帯対応のワイヤレスマイクを所有していれば、誰でも使用可能。
音響会社、ホール、学校の他、ダスキンレントオールなどのレンタル会社から借りるワイヤレスマイクセットなどもこのタイプ。
C帯も、免許不要。B帯に比べて音を遠くまで飛ばすことができるが、音質は少々悪い。私は、C帯のマイクは、見かけた記憶が無い。

一般的に使用されているワイヤレスマイクは、ほぼB帯で、一部がA帯。

そしてこのワイヤレスマイクには、電波の都合上、同時に使用する本数に制限がある。特にB帯「同時使用は6本まで」という制約付きだ。

なので、コンサートを行うにあたって、会場の担当者と「どの周波数を使用できるか」を打ち合わせする必要がある。

TV番組でアイドルグループが大量のワイヤレスマイクを持って歌っているのを見ると、ついつい使用本数を数えてしまう。

10本以上ワイヤレスマイクがある場合や、○○音楽祭でたくさんの歌い手がいる場合、どうやって管理&運用しているんだろう・・・後ろの子はなんちゃってマイクか・・音響担当者は大変だろうな・・なんて考えてしまう私。

最近では、wifiの電波と同じ周波数帯の電波を使用したデジタルワイヤレスマイクもあって、そのマイクならば、同時に10本以上を使用できるものも登場。これならば、10人以上のアイドルグループもメンバー全員、ばっちり歌うことができる。

怖いのは、混線トラブル

音を電波に変換して飛ばす、ワイヤレスマイク。

実は、ワイヤレスマイクだけでは使用できない。マイクから飛んだ電波をレシーバーという受信器で受け取り、元の音に変換する必要がある。

有線マイクならば、どこを信号が通っているかは、線を追えばわかる。ワイヤレスマイクの場合は、音を電波に乗せて飛ばすので、どこを飛んでいるか目で確認することができない。

どこかで、同タイプのワイヤレスマイクが使用されている場合、怖いのは混線。

私が経験したトラブルの中でも、この混線問題が一番多い。「歌声に交じって、どこからか声がする」という、ホラー映画に出てきそうな場面を何度か経験した。

一つは、多目的に使用できる部屋がある市民センター。

市民センター内では、ワイヤレスマイクを使用する際、混線が無いよう運用されているのだが、そうはいっても、見えないものを管理するのはムズカシイ。

違う階で行われている講演会のワイヤレスマイク電波が、公演中に飛び込んでくることがあった。

 

 

いろいろな使用用途のある会場では、ワイヤレスマイクを使用を制限していることも多い。「持込のワイヤレスマイクはご遠慮願います」と、禁止している会場もある。

特にホテルでは、会議、講演会、ウエディング、宴会など多様に使われていることも多く、同じ階に複数の会場がある場合も多い。

披露宴の最中に、別の会場で行われているコンサートの歌、それも「貴方と別れて~♪」なんて歌が混線して流れたら・・・ホラーどころの話ではない。

 

トラブルに備えます

ワイヤレスマイクが混線したら、コンサートをまともに行うことが出来ない。

演出は制限されるが、音があってのコンサート。
もしもに備えて、線付きのマイクが常にスタンバイ。「混線したら即交換」できるように、非常事態に備えている。リスクマネージメントというやつだ。

 

※もしもの時用の有線マイク。私たちは「エマージェンシーマイク」と呼んでいる。

 

10年の間、担当したコンサートで混線トラブルに遭遇したのは、2回。

途中、音がぷつぷつ途切れ、おかしな声が飛び込んできた。これがまた、リハーサルでは何も問題なかったのに、本番になってから発生するという予想だにしない展開。

「混線するなら、リハーサルの時に醸してくれよ。」とブツブツ。

ワイヤレスマイクは、ステージ上を自由に動き回れて、マイクのケーブルを気にすることも、引っかかる心配もない反面、見えない電波に引っかかる可能性は秘めているのだ。

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