先日、リスが買い物に出た際に、一冊のエッセイを購入してきた。
『欲が出ました』 / ヨシタケシンスケ
ヨシタケシンスケさんは、デビュー作『りんごかもしれない』で第6回MOE絵本屋さん大賞第1位を獲得された絵本作家。
ちょっとシュールな視点で生み出された絵本は、子どもだけでなく、大人も思わずうなづくような日常がそのまま表現されていて、見入ってしまうモノばかり。
有名な絵本「おしっこちょっぴりもれたろう」「ころべばいいのに」というキャッチーなネーミングにも、なんともセンスを感じた。
そんな絵本作家ヨシタケ氏による「深かったり浅かったりする」スケッチ解説エッセイが昨年発売された。それが『欲が出ました』。
欲が出ました
ヨシタケシンスケ
緩い中にも核心あり度 ★★★
人間の本能 解説度 ★★☆
人物イラストの足の長さ度 ★☆☆
お菓子をもう一個取っていいんじゃない?
もうちょっと寝ててもいいんじゃない?
人間って、プチ欲が出たとき、何とも言えなーい顔をする。
そんな一瞬を、絵本作家ヨシタケシンスケが、「深く浅く」切り取ってみると…欲が出るから失敗するけど、欲が出るから人間って面白い!?
(新潮社『欲が出ました』解説より)
しみじみしたり、くすっとしたり
はじめに…のところに、人間の欲について、イラスト付でお話があります。
睡眠欲や食欲、物欲、性欲‥などなどある中、「納得欲」というものもあるのではないか、という説。
納得欲とは、知りたいという欲求から、考えすぎたり、理由や理屈を探ったりする。つまり、「考える」とは、納得欲の強い人が自分を慰める行為とあるのですが…
まるで自分を解説されているような気分でした。
頭や心で考えていても、その感情や想いを言語化まではできないモヤっとした部分を解説してくれている箇所が多々あって、ゆるいのに‥深い。
そうかと思えば、口に出したらくだらないと言われるから心に秘めているような妄想まで、イラスト付きで解説されていて、ニヤニヤしながら一気読みした。
私達もココでそういうことを書きたいのになぁ、と思うのに書けない。
どうしたら書けるかなぁ‥と考え出し、「納得欲」の数値高めな自分をまた感じるわけです。
そばに置いておいて、時々、読み返したくなる一冊です。
一時間ちょっとで読破できる文字数でしょうか。ただ、「あ~、わかるわ~」という内容多しで、読みごたえあり。
隊長オススメのページは、失敗の根本的な原理について、食事の動作を通じて考察されている「なぜうまくいかないのか」。
人間の普遍的な欲望について書かれている「人間は平らなところが好き」等々。
ただ、宇宙戦艦ヤマトに登場する星についての章は…“イラストのみ”お楽しみください。
自分が真理だと思えることを、面白おかしく、時には、しみじみと、挿絵付きで文章に落とし込める。
そんな才能に、ちょっと憧れた私でした。
イラストに滲む人間味
途中にあるスケッチコーナーもなかなか面白いイラストだらけ。
スーパーや喫茶店などで、一度は見たことある光景がたくさん。また、くすっとしちゃうおもしろ設定もある。
ヨシタケ氏が普段見ているであろう視点が垣間見れたり、妄想からの遊び心らしきモノもあって、とても面白い。
LINEスタンプがあるというリス情報から、思わずスタンプも購入してしまった隊長。
どれを送ろうかニヤニヤ
スタンプも、なかなかシュールなイラストで気に入っています。
こちらの本は、近日、図書スペース:フクロウLIBRARYに追加しますので、ぜひ読んでみてください♪
〈Pick up★〉
ヨシタケシンスケさんの大人向けエッセイ。
そうだなぁと納得したり、ぷっとおかしかったり‥ゆるく和やかな気分になれます。
2021/2/24発売予定の「にげてさがして」も、ちょっと気になる‥♪