冬を迎える前にせっせと食料を蓄える、アリ。
かたや、バイオリンを弾いて楽しく夏を過ごした、キリギリス。
冬になって、食べるものに困ったキリギリスが、食べ物を分けてもらおうとアリを訪れる。
アリは「食べ物を分けてあげるので、バイオリンを聞かせてください。」と分け与える説と「夏のように、冬もバイオリンを弾いて楽しく過ごしたらどうですか。」と分け与えない説があるそうな。
このイソップ童話のお話から、アリは、懸命に働くというイメージが強かったのだが…さぼるアリもいるらしい。
働きアリの法則
ひょんなことから「働きアリの法則」というのを知った。
北海道の北海道大学大学院の准教授 長谷川英祐さんの研究によると、アリの中でも、よく働くアリは全体の20%で、残りの60%は普通に働き、あと20%のアリはさぼっているというのだ。
アリさんの世界イメージ
これを「2:6:2の法則」とも言うらしい。
しかし、もっと驚いたのはこの先。
よく働く20%のアリをのぞき、先程まで普通の働きをしていたアリと、さぼっていたアリだけにすると、その中から、よく働くアリが20%現れるという。
逆によく働いているアリだけを集めても、その中から20%はサボりだすという。
なんだか面白いこの現象。
調べていると、次のような解説があった。
働くアリと働かないアリの差は「腰の重さ」、専門的に言うと「反応閾値」によるという。アリの前に仕事が現れた時、まず最も閾値の低い(腰の軽い)アリが働き始め、次の仕事が現れた時には次に閾値の低いアリが働く、と言う形で、仕事の分担がなされている。
仕事が増えたり、最初から働いていたアリが疲れて休むなどして仕事が回ってくると、それまで仕事をしていなかった反応閾値の高い(腰の重い)アリが代わりに働きだす。
そもそも、この「働きアリの法則」を深く知るきっかけになったのは、集団において、頑張らないタイプって一定数いるなぁと思ったことにある。
この「働きアリの法則」となんとなく似ているかも、と頭の中で結びついたところで、自分の行いを考えてみた。
必要とされる立ち位置をかぎ分ける
私達はどちらかというと、ゴール設定が明確なものにおいては、頑張るタイプ。
例えば、自治会の溝掃除・どぶさらい、なんかでは「溝を綺麗にする」がゴールだし、先日の駐車場整備では「70個のブロックを積む」がゴールだ。
目に見えて成果がわかり、サボっていると前に進まないような時、いかに効率的にゴールへ到達出来るかを考えてぐんぐん進む。
アリ世界やったら、めっちゃ働きアリのタイプやん‥と思う一方、いつもそうかというと違う。
集団において、誰かがリーダーとして頑張ってくれていたら、今回はあんまり頑張らなくても大丈夫だなと思っている時がある。
また、何の目的でやっているのかわからない=ゴールが不明確な時は、やる気がでない。周りには、サボっているように見えているかもしれない。
逆に、会議などにおいて、どうまとめていいかわからず困っている雰囲気であれば、まとめ役を買って出る。
これって要するに、アリさんでいうところの「腰が重い」「腰が軽い」と一緒かもしれない。
集団においての「自分の必要さ」に応じて、頑張る内容やタイミングを見極めて実行している。
となるとサボる人は「今、自分が頑張らなくてもいい」「何のためにしているかわからない」という感覚が多いのだろうか。
ただ、人間の行動の裏には、感情バイアスが大きいので、そう簡単な答えでもなく、アリさんの世界と同じく、意欲的な人ばかりを集めたからといって、全てうまくいくわけでもない。
でも、普通の働きをする人達の意欲平均値が高いと全体の底上げにはなるのかな、と想像する。
アリも、キリギリスも。
アリ世界のアリさん達は、食料の確保、卵の24時間のお世話、外敵から巣を守るなど、全て生存に関わる重要な問題に従事している。
なので、2:6:2の法則によって、誰かが疲れて休んだら、次の人が動くという状況を維持できるほうが、長期的に見るといいらしい。
仮に、よく働くアリばかりで意欲的に頑張ったとしても、皆が一気に疲れて作業がとまると、卵が腐ったり、外敵に攻め入られるかもしれない。となれば、生存維持できない。
何とも良くできている。興味深いアリさん達の法則。
人間界では、ただのサボリは疎まれるが、仕事がちょっと遅くても、笑顔が素敵で、周りへ気くばりができる人は重宝される。
また、コツコツ頑張っていれば報われるわけでもない現代、キリギリス要素を持ちつつ、何でも楽しみながら向き合えたら、たくましくて強い。
頑張らない人の心理を考えてみるつもりが、全然違うところに行き着いた今日の会議。
童話や物語も、時代風景の移り変わりによって、新しい展開が定着していくのかもしれない。
キリギリスは、今日も、
楽しくバイオリンを弾きながら
仕事へ向かう‥♪
< Pick up ★>
「働きアリの法則」を発表された、北海道大学大学院の長谷川准教授の著書。
これは一度読んでみなくては‥生物学も気になっている♪