年末の雪が降った日、野良猫を保護した。( → 野良猫を保護するまでの7か月)
成猫の野良猫を保護する大変さは想像していたけれど、いくつものハードルが立ちはだかる1週間となった。私達の怒涛の年末年始のオハナシ。
ハードル:触れる
これまでハクに触れた経験といえば、ご飯を食べる時に背中をなでなでする程度。顔をまともになでたこともなかった。
保護した夜、ハクが落ち着いた場所は、靴入れ収納棚の上。
棚の高さは約140cm、幅は40cm前後くらい。怖がるハクにそっと手をよせると、顔を触らせてくれた。
そして、リスの顔に向かって近づき、頭をスリスリ~と押し付けてきた。急激に甘えてくる変化にこちらが驚く。
この機に乗じて、猫用ウェットティッシュで身体を拭いてみたけど嫌がる気配は無し。そのまま抱っこもできてしまった。
実は、雪が降る前日から、今までは来たことがなかったテラスの窓に来て、室内の気配をうかがったりと、距離感が急激に近くなっていた。
寒くなることを予測して、安全な場所に身をおくことを考えていたのか。
顔にスリスリしてきた時「ありがとう」と言ってくれているような気がした。そこは、めでたく解釈しておこう。
ご飯をたべて眠るハク(保護して数時間後)
このあたりで隊長が帰宅。
「マジか!ハクが家の中で寝てるぞ!何か知らんけど!」と言っていたけど、ひとまずスルー。
ハードル:身体チェック
動物病院は、年末年始お休みとなる。
かかりつけの動物病院は、保護した次の日が年末の最終診療日だった。ハクとの七カ月の経緯を超短縮バージョンで話し、先生に診てもらう。
体重:3,2kg / 性別:メス。
目立った外傷もなく、目やにや鼻水もなし。耳の中も綺麗。
「耳が切られているので、避妊手術済と思うんですが…念のためにお腹の毛を刈って確認しましょう。ただ、今やるとハクちゃんにストレスがかかるかもしれませんので年始にしましょうかね。」と先生。
「はい、そうしましょう。」と年始に再来院となった。
ハクを保護してからまだ1日も経っていなかったので、排便はしておらず、検便による寄生虫の確認は出来ない。
とりあえず、ダニ・ノミやその他寄生虫の駆除ができる「ブロードライン」を処方してもらった。これで、ほとんどの寄生虫を駆除できる。
この時点で一番の問題となったのが“トイレ”だ。
猫は、1日排尿/排便しなかったらよくないとされ、3日しなかったら危険な状態。
野良猫のハクが、人工的な猫用トイレを利用できるかどうかということが問題だった。
「もしかしたらトイレを室内でするのは難しいかもしれませんね。しばらく様子をみて、排尿/排便できないようなら外へ出してあげるほうがいいかもしれませんよ。」と先生。
外に出したら、帰ってこないかもな~と、ちょっと落胆なアドバイスを受け、この日は受診終了。安堵と心配が入り交じる中、帰宅した。
ハードル:トイレ
ネット検索で、保護猫とトイレの情報をかき集めてみると‥
野良猫を保護した場合「1~2日トイレをしてくれなかった」という事例がたくさんあった。
もし、丸2日経ってもできなければ、身体の事を考えて、外へ出すことも考えようと決心し、ハクのおトイレ作戦を行った。
カリカリと言われるドライフードより、缶詰のようなウェットフードのほうが水分量が多いためトイレを促すのによい、ということで、ウェットフードへ切替え。そして、猫用ミルクを少し水で薄めて(カロリー過多を防ぐため)、食事の時に与えるようにした。
食欲は旺盛なので、ウェットフードもミルクもぺろり。
トイレの砂は、外の砂に一番近い鉱物タイプのものを利用し、できるだけ外の環境に近い玄関の冷たい“たたき”の部分にトイレを置いた。
食事の後はトイレの上に座らせて“ここにトイレがございますよ~”と、トイレの存在をアピール。
すると、保護して1日と半日ほど経った時、おしっこ&うんちに成功!
食べること&出すことがこんなに大事だと思ったのは、初めてだった。
ハードル:ケージ
保護したのは、雪が降ったタイミングで急だったので、ケージを用意できていなかった。
でもちゃっかり‥リスは、ペットヒーターだけ購入していた。
保護した時、先住猫とはしばらく隔離する必要がある。隔離された寒い場所でヒーターは必ず必要になるはず‥と12月入った頃に先走って購入。これは役立った。
保護した夜から2日間は玄関での生活。ダンボールにヒーターを敷いてフリースをかぶせ、簡易ベッドを作成。
甘えて眠るハク(保護1日目)
ヒーターは外に比べたら別世界のあたたかさ。さぞかし感動したのか、とても気に入ってくれた様子だった。
ハクの落ち着く場所がないのもかわいそうだと思い、ハク用ケージが出来ないかと考えた。
ただ、ケージは購入すると大きいもので2~3万程はする。どうせなら作っちゃおうと思い立つのが私達流。
構想という名の設計はリス、作成はDIYの得意な隊長が担当。
ネコは上下運動が必要&高いところが好きなので、1階にトイレ、2階でご飯、3階にベッドが理想で、3階建てのケージを作成することにした。なんとも贅沢な3階建て。
材料は、木材と100均のフェンスを利用。
実は、先住猫の子猫時代もこのようにして作成した。必要なくなったら、バラすこともできるし、何より安価で作成できる。
隊長の奮闘もあってか、半日もしないうちにハクハウスが見事完成~!
3Fでくつろぐハク(保護2日目)
ハードル:夜鳴き
保護してからの一週間。ツラかったのが、夜鳴きだった。
知らないところに閉じ込められて、今までのように自由に動き回れないのだから、鳴き叫ぶのも理解できる。夜鳴きをする保護猫が多いと前情報で知っていた。
覚悟して望んだつもりが‥
すごい声量で「なおーーーーん。ぎゃーーん。」と鳴く鳴く鳴く。夜中続く夜鳴き♪
朝方は特にひどく、鳴きはじめると止まらないし、結構な声量で鳴くので、おちおち寝てもいられない。
夜鳴きがひどい時は気分転換に散歩(保護3日目)
「夜鳴きは慣れない環境でのストレスが原因。3日ほどで落ち着く子もいれば、何週間も続く子もいる。」と、夜鳴きを聞きながらスマホで事例を探した。
これが、何週間も続くのか‥‥‥
近くにいることで少しでも安心してもらおうと、リスはケージ横で眠る日々が始まった。
鳴き声を聞くたびに、ハクをなでてみたり、お話してみたり。ようやく寝たと思ったら…3時間ほどすると起きて、また鳴く、鳴く、鳴く。
一緒にするのは失礼だと思うけど、乳児を育てるお母さんの気持ちが少しだけわかった気がした。
でも昼間は、ぐっすり眠る。
寝顔を見ていると一瞬夜鳴きを忘れるけど、夕方くらいから鳴きはじめることもしばしば、リスは鳴いてなくても「あっ鳴いてる」と幻聴?が聞こえるくらいになっていた。
へとへとの年末年始。ネコノイローゼ気味のリス。
年末は全てがハク中心の生活。年が明け、元旦になってから、ようやくお節を作り、大掃除をした。
2019年になった瞬間は、ハク散歩中
それからしばらく、夜鳴きの日々が続いたが、保護して4日目くらいから夜鳴きの種類が変わった。大音量の「なおーん」はなくなり「にゃーん」になった。
1週間経った頃。
初めて夜中に6時間程度の睡眠。リスもようやく熟睡することが出来た。
今となっては、夜鳴きの声も一つの思い出。
ちょっと懐かしく「そんな時代もあったね」と、たった数週間前の日々を思い出す。
ハードル:先住猫
うちには、4歳になるオス猫2匹(黒助・福助)がいる。
彼らとの相性は、今後の暮らしに大いに左右する問題。
ハクの野良猫時代。7か月に渡ってご飯をあげてきたので、漏れ聞こえる鳴き声から、「あぁ、何か猫らしきヤツがおるな」と、お互い存在はわかっている感じだった。
オスは縄張り意識が強いので、彼らの縄張りに徐々に入っていく過程を作らねばならない。
・ケージ越しに対面。
・爪とぎやフリースなどを交換して、お互いの匂いをわかってもらう。
・ご飯は必ず先住猫から。
これらのことを守りながら、少しづつ少しづつ、存在を感じてもらうようにした。
最初は、どちらかが「シャァ」と威嚇しているときもあったけど、気づけば、鼻をくんくん近づけてご挨拶。
成猫同士は、仲良くなるのが難しいというけれど、オス×メスであったことや、ちょっとビビり気質で知らないモノには近寄らない黒助、好奇心旺盛で新しいものには興味津々の福助の性格もあってか、喧嘩に発展しそうな気配はない。
先日、福助がハクの毛づくろいをしていた。
仲良しというのにはまだまだ時間がかかるだろうけど、ひとまず安泰な気配で一安心。
最大ハードル:2月末の検査
年始の診察開始日にいつもの動物病院へ。
今回はウンチをゲットできたので検便を行ってもらい、予防注射もしてもらう。
先日、ダニやノミ、寄生虫を駆除する「ブロードライン」をしてもらった時、この薬では駆除できない虫がいると聞いていた。
それが、マンソン裂頭条虫。カエルや蛇を食べることによって寄生する虫なのだ。
検便の結果「あ、出ちゃいました。」と先生。「でしょうね。」とリス。
まぁ、野良猫だったのでいろいろなモノは食べているだろうとは思っていたが、カエルも食しておられたようです。
この寄生虫は飲み薬で駆除できる。薬代一粒¥920を2錠、処方。うーん高い!笑。
そして、前回できなかった避妊手術をしているかどうかの確認。
暴れずおとなしいハク
お腹の毛を少し剃ってみたところ、手術跡を無事確認。
次は、1月末に2回目の予防接種を行う予定。(初年度の予防接種は2回行うため)
そして、2月末にもう一つの検査が待っている。
それが猫エイズと猫白血病。
こちらは、血液・唾液からうつる感染病で、喧嘩、交尾、そして、母子感染という感染経路がある。
検査自体はいつでもできるのだけど、感染してから2か月は陰性と出てしまうこともあるらしいので、2カ月間、他の猫と接触していない期間(うちの家で過ごした)を経て検査をすることにした。この検査を2月末に行う。
もし、陽性であれば、先住猫への感染の心配、発症した場合など、何かと大変なことがあるが…それももちろん、わかっての上でハクを保護したのだ。
ただ、この病も血が出るほどの喧嘩や交尾がなければ、感染する可能性は低いというのが救い。
今は、ケージでの生活を主にし、先住猫との接触をセーブしながら、過ごさせている。
箱入りムスメになりました
今日で保護して約3週間。
外に出たいと鳴くこともなくなり、お家の中を探検をしたり、自分の場所を見つけたり、徐々に馴染んでいるハク。
2月末の最大のハードル「白血病と猫エイズ検査」どうか無事に陰性でクリアできますように。
今は、そればかりを願いながら、3匹のにゃんずと暮らす隊長とリス。ともあれ、楽しく過ごしています♪
★News★
ハクの保護を機に、Instagramで猫用アカウントを2019年の元旦からスタート。3にゃんずの日々を更新中!!
instagram @kurofukuhaku
待っておりました!、ハクちゃんのその後。
3階建てハクハウス、 先を読まれたヒーター購入 素晴らしい限り。ハクちゃんは色々わかってるんですね。賢い。あとは、白血病とエイズが陰性なのを祈るばかり。
ご愛読ありがとうございます!
犬ほど気持ちのやりとりは出来ないと思うのですが、ネコも飼い主の心を見透かしているように感じる時があります。
ハクを外で見た時から、一緒に暮らすようになる気がしていました。なんとなく~私達にも黒福にも合うかも♪というような予感です。病気があっても家族ですが、ないに越したことはありませんので、ひとまず祈りながら暮らします。
見透かされている感じってあります。言葉は通じなくてもお互いにわかりますね。 ハクちゃんを見た瞬間、ビビビッて繋がったんですね♪ 直感とか、こうした方がいいかもって思ってやっておくとか、大事ですね。
クルちゃんにも「あぁぁ見透かされてる~」と思います^^。猫の目ヂカラは、心をまっすぐ見られているような感覚になりますね。
どんなときも後悔はしたくないので、自分の気持ちに正直でいたいなと思っています。来年のお正月、2019年のスタートを楽しく思い出せるようになれていますように。いつか3にゃんが川の字で寝てくれるのが今の小さな願望です^^笑