最近の若い者は…
約5000年前のエジプトの遺跡から「最近の若者はなっていない、わしの若いころは・・・」という象形文字が見つかったなんて話があったと聞くが、真相はどうなんだろうか?
ただ悲しいかな。
昔から若者は”けしからん”と言われる対象になることが多いと思う。
最近の若者事情はどうなのだろうかと考えている最中、20代の若者と仕事を共にすることが何度かあった。
コンサート音響や、収録のアシスタントをお願いしたのだ。
有段者軍団
昨年末、ちょっと大掛かりなコンサート収録があり、音響関係の専門学校で学ぶ学生さん達にお手伝いしてもらった。
将来、レコーディング・録音関係、コンサート・ライブ音響の仕事がしたいという若者たちだ。
「はじめまして」の挨拶の際は、ちょっと緊張しているような顔つきだったが、すぐに現場の雰囲気にもなれた様子。
えらく馴染むのが早いなと思って、話を聞いてみると、これまでにも音響・録音の現場は何度も経験しているとのこと。
専門的な用語や、機材の仕組みは一通り学校で学んでいるので、共通言語も多く話は早い。また、現場での研修という授業もあり、実地の経験もバッチリだ。
そして、機材やケーブルの基本的な取り扱いテストにパスしないと、現場に出してもらえないなんて制度があるらしい。
機材/備品の取り扱い有段者認定制度といったところだろうか?
お手伝いしてくれた学生さんは皆そのテストをパスした黒帯有段者。
こちらが出す指示にもテキパキと反応、少々の無茶ぶりもこなしてくれた。
自分が音響アシスタントバイトをしはじめた頃の “右も左もわかりません状態” とは少々異なる。
細かく指示や説明をしないと動いてもらえないかなと思ったが、それも杞憂で終わったようだ。
デジタルガジェット世代
学生さんたちは20歳前後。
生まれた頃にはすでにインターネットがあり、小学生の頃にはスマートフォンが登場した世代。
デジタルガジェットと呼ばれる携帯型の電子機器を難なく使いこなす。
これからを担う平成~令和世代
「これって、どっちやったっけ?」なんて、私が言っていると、さくっとネット検索して答えを出してくれる。
取扱説明書等は、インターネットの製品サイトに上がっているので、誰でも入手可能。しかも、取説をかみ砕いてわかりやすく解説しているサイトや、使い方のコツを紹介しているサイトまで存在している。さらにyoutubeなどで、実際に使っている動画まで見ることができるのだ。
環境・情報・道具等々、私の青年期とは違い過ぎる。
育つ環境によって、人間そのものの進化が違ってくる…と思わずにはいられない。
私の若者との付き合い方
コンサート現場の人と話していると「学生は使えないよね~」なんて声も耳にする。
もちろん、現場経験は少ないし、まだまだ知らないことだらけなことは確かだ。だけど彼らには、吸収したい・勉強したいという前向きな気持ちが備わっている。
学生さんたちに手伝いに来てもらった時、いろんな役割を決めて担当してもらった。
「〇〇さんは、観客の拍手や歓声を拾う用マイクの設置ね。どの向きに設置するかは任すわ。」等々。
荷物運びや雑用が主な仕事だと思っていた学生さんたちは、そこそこ驚いたようだ。
指示の仕方としては「〇〇をしてほしい。やり方は任せる。でも△△の事にはならないように注意をして。」と言う感じで、細かい事は指示をしない。
その人の能力&個性を最大限に発揮してもらえる形でお願いをする。すると、みんな責任を持って、そして楽しく、活き活きと業務をこなしてくれる。
私はそんな姿を見るのがとても楽しくて好きなのだ。
若者と仕事をすることによって、私自身が得られることも多く、気づきもある。
「最近の若い者は・・・」なんて言うオジイになりたくない。
だって、最近の若者はとても優秀なのである。