血液検査の基準値、陸上や水泳の基準タイム等々、世の中には”これが基準”なんて数字がある。
音楽の世界にも、”基準”となる数値が存在している。
世界標準は「440」
音楽においての基準値。
たとえば、ハ長調:ラの音(ピアノでは88鍵盤の中の下から49鍵目)を、どれくらいの高さ(音高=ピッチと呼ぶ)にするか?を正確に決めておく必要がある。
これは基準周波数といわれ、A=XXXHzと表される。
この基準の音の高さを元に、バンドなら、鍵盤楽器、ギター、ベース・・・、オーケストラなら各楽器のチューニング(調律、調弦)を行う。
これには、国際標準周波数という値があって、A=440Hzと決められている。国際会議でも採択されている世界標準なのだ。
440Hzといわれても、ピンとこない方もおられると思うが、実はこの音、誰もが知らないうちに聞いている。
時報の「ピッピッピ、ポーン」だ。
NHKの時報は、440Hzの音が3回鳴り、最後に880Hz(440Hzより1オクターブ高い音)が鳴る。
442へ、値上がり?
コンサートの音響業務などで、ピアノに関わらせていただくが、ピアノの基準周波数は440Hzよりも、442Hzとする会館やコンサートホールが多い。
また、オーケストラなど、弦楽器が入っているものは443のほうが、「高音がきれいに聞こえる。」「音が華やかになる。」なんていう理由から、基準を443Hzにすることもあると聞く。
「世界的に有名な指揮者・カラヤン氏は、さらに高く445Hzを使用していた。」という逸話も。
基準周波数も、値が上がったり下がったりと、流行があるのだろうか。
1Hz、2Hzの違いも侮れない
「10や20違うならともかく、1や2違うとかなら、些細なことじゃない?」と思う方も多いかもしれないが、この1Hzや、2Hzが、意外に大きな違いになる。
いつも、442Hzを基準にしていた演奏家の方にとって、1Hz違うと、「なんだか、今日のピアノは気持ち悪い。」「ちょっと高い音が歌いにくい。」「耳が痛い。」なんてことが起こる。
私も、443Hzで調律されたピアノを聴いたことがあるが、「いつもより高音がキツめ。ちょっと金属音っぽく感じる。」という印象。
また、調律師の方からは、こんなお話も聞く。
「古いピアノで443Hzにあわせるのはたいへんだ。」
「いつも以上にテンション(弦を引っ張る力)がかかって、弦が切れやすい状態になる。無事、弦が切れずにコンサートが終わることを祈る。」
「88鍵分、弦を引っ張る力が増えるので、その力は強大。ピアノにも想像以上の負担がかかる。」
「443Hzに合わせると、心配事が増えて、心臓に悪い。」
基準が1Hz上がることによって、高音がきらびやかに感じたり、音の明るさが増すという反面、時に楽器にとってはストレスになることもある。
1Hz、2Hzの違いも侮れない。
ちなみに、基準を442Hzとするコンサートホールでは、443Hzや439Hzへ変更した場合は、442Hzへ戻すのが必須となっているのがほとんど。
これは『戻し調律』といって、そこにも料金が発生するので、費用面でも注意が必要なのだ。
※「戻し調律が必要」との注意書き
日々、音に関わる仕事をしている私。
基準周波数が何Hzに設定されているかを常に確認するし、職業柄、音には少々うるさいので、リスから、こんな質問がでた。
ギターの弦6本分の調整(調弦)も大変やのに、88鍵盤分、調整しないといけないなんて、耐えられそうにないわ。
と、面倒くさがりの私には無理な選択でしたとさ。
私には到底ムズカシイ・・
心地いい良い音は、整った音の世界でもあるのです♪
周波数はハープをするようになってから意識するようになりました。だいたい441。たまに442。奇跡の周波数Aが444ってのもやってみましたが、慣れませんでした。何でもですけど、周波数も奥が深いので私には考えられなくて、自分が気持ちよければええわとなっております。合わせる楽器により変えることはありますけどね♪
コメントありがとうございます。「444」は奇跡の周波数なんですか!?…知りませんでした…
特にピアノ、442Hzよりも上になると、私的には、聴いていても疲れる印象。
444…ちょっと想像できない領域です。(汗)