思考の素

SOUND CHECK @ Alan Parsons & Stephen Court

世の中に数多く存在するCD。

その中で、オーディオ機器のチェック用、サウンドチェック用のCDとして作成されたものが存在する。

その名も「SOUND CHECK」

1993年に作成されたサウンドチェック用のCD、その名も“SOUND CHECK”。

そのまんまのタイトル通り、サウンドチェックに使用するCDである。

 

 

このCDを作成したのは、ビートルズやウイングス、ピンク・フロイドなど数々のアーティストのエンジニア、アレンジャー、プロデューサーを務めたアラン・パーソンズ

大規模コンサート音響の開拓者と言われている、ステファン・コートの両氏。

アルバムジャケットの裏には、こんな案内文がある。

オーディオ機器のテスト等に使用するCDの決定版!
サウンドエンジニア、オーディオ愛好者、レコードプロデューサー、音楽家のニーズを調査、要望にお応えして作成しました!

当時、「アラン・パーソンズが自ら録音、または自らが選んだ音源の中から、サウンドチェック用に使用できるクオリティのモノを選んだ。」というPR文に惹かれ、「なんか、すごいCDがあるらしいぞ!」と、友人に話したところ、後日、プレゼントしてもらえたのだ。

気になる中身…どんな”音”が入っている?

サウンドチェック用に作られたCD”なので、「一体、どんな音楽がそれに入っているのか?」が気になるところ・・・が、何と、このCDに音楽はあまり入っていない。

では、何が入っているかと言うと・・・

・計測用のノイズ音が7割。
(ザー=TV画面が砂嵐になった時の音)と、いろいろな音程のサイン波(サイン波=時報のポーンの音)。

・ギター、ベース、ドラム、弦楽器、管楽器を録音した音が2割。

・音楽と効果音が残りの1割

という構成。
まさに、音響機器をテストする為に存在するCD。

一般の方にとっては、雑音だらけのCDに感じるに違いない。

 

※ずらりと並ぶ数字は、音の高さを表している。
(〇〇Hzというのが、音の高さだ。)

 

-人間の聴覚-

人が聞き取れる周波数(音の高さ)は、20Hzから20,000Hzといわれていて、加齢と共に周波数の高い音は徐々に聞きとりにくくなる。

この聞こえ方を利用したのが、モスキート音。

コンビニの前などで、高い周波数の音を流すと…若い方々だけに不愉快な音が届くので、たむろすることを防ぐことが出来るのだ。

試しに、このCDを使って、隊長とリスの聴力範囲をテストしてみた。

リスは15khzまで、隊長は12khzまでは聞こえた。

12khz・・・50代の方まで聞こえるレベル
15khz・・・30代の方まで聞こえるレベル

二人とも、年相応の聴力範囲。聴力は、自覚なく低下していくのでコワイ。

若い方でも、大音量の音の中にいることが多い方は、高音が聞こえにくくなっている方もいるので、要注意だ。

こんなふうに簡易聴力テストのような少し変わった使い方も出来るが、私は、CD内の「ギター・ベース・ドラム・弦楽器・管楽器を録音した音を聞きながら…

「ギターのジャカジャカ音は、こんな感じで聞こえていれば大丈夫。」
「弦楽を録音する際は、それぞれのパートがこのくらい聞こえていればOK」
「タンバリンは、金属音がこのくらいは聴こえるようにしよう。」

なんて風に、自分が楽器を録音する際の参考としていた。

特殊な仕様用途です。

今では、音響機器の中に計測する為の機能が入っている。

ノイズも、サイン波も、ボタン一つで、いろんな高さの音を再生することが出来る。

このCDは、前時代的なモノではあるし、特殊な分野でしか活用されなかったためか?知らない方がほとんどだと思うが、私にとっては「楽器の音を録音する際には、どんな感じで録音出来れば合格か?」を考える参考になった1枚だ。

 

 

今では、入手困難となったこのCD。

ただ・・・もし、入手されて試聴される場合、ケースの裏面に「大音量で流すと、音響機器を壊す可能性があります!!」の記載あり。

突如「耳キーン」になる恐れがありますので、お聴きになられる際にはご注意あれ。

ABOUT ME
Taicho
studio untrapのサウンド担当。美容院の息子に生まれた影響からか。第一印象の人当たりは良し。「早く家に帰りたい」と「大丈夫、何とかなるじゃない~」が口癖。無難かつ合格ラインを見極めて進む『良い塩梅』派。
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