思考の素

12人の怒れる男 / 12人の優しい日本人

以前に書いた記事「多数決はだめ?」の中で、少し触れたアメリカの陪審員制度。

その時に思い出したのは、陪審員制度を描いた映画の「十二人の怒れる男」だ。

「十二人の怒れる男」(12 Angry Men)

議論を行うことにより、それぞれの陪審員が真実を追求し見極め、自分の意見に確信をもっていく様が、とても面白い。

雰囲気に流されない議論は大切よね。。と考えるようになった映画。

 

監督 シドニー・ルメット
主演 ヘンリー・フォンダ, リー・J・コッブ, エド・ベグリー他
※先日まで、AmazonPrimeで観ることが出来たのだが、今は鑑賞不可に‥。

ストーリー
父親を殺したという容疑で逮捕された17歳の少年。その事件の裁判の陪審員は12名。12名のうち11名が有罪を主張する中、ただ1人が有罪の根拠に疑念を抱く。アメリカの陪審員制度では、評決は全員一致が必要、有罪か無罪か議論を尽くし、評決に至る・・・。

 

陪審員室という “ひとつの部屋の中” でストーリーが展開する、1957年公開のアメリカ映画。超低予算で、短期間(2週間程度)で撮影された白黒映画だ。

普段、ほとんど白黒映画を見ないカラー好きの私。

何がきっかけでこの映画を見たかは忘れてしまったが、今でも記憶に残る作品。ちなみに他に見た白黒映画で記憶に残っているのは「未知への飛行(Fail Safe)」。

被告を有罪と考えている11人の陪審員が、有罪に異議を唱えている1人の陪審員を説得しようとする。

有罪に意義を唱える1人は「説得されるものか!」と対抗心を燃やすとかでは無い。疑わしい証拠や証言に惑わされることなく、ただひたすら“真実が何か”を見つめようとする。

その彼の姿は、有罪と考えていた11人の考え方までをも変えていく様に感動したのだ。

この作品は、のちにロシアやインドでもリメイクされ、日本でも舞台劇として上演されている。

日本版、十二人の怒れる男?「12人の優しい日本人」

「12人の怒れる男」が正統派陪審員映画だとしたら、こちらは、面白派陪審員映画。

脚本は、映画「記憶にございません!」が現在公開中の三谷幸喜氏。

実際、日本に陪審員制度は無いが、「もしも陪審員制度があったら・・」という設定で描かれている。さすがの三谷幸喜氏、物語の設定からしておもしろい。

 


12人の優しい日本人

中原俊(監督)
三谷幸喜と東京サンシャインボーイズ(脚本)
出演: 塩見三省, 相島一之, 松村克己, 林美智子, 豊川悦司 他

ストーリー
陪審員全員が「無罪!!」しかしその部屋からは誰も出られなかった。

ある殺人事件の審議のために12人の陪審員が集められた。被告が若くて美人であることから、陪審員全員が無罪の決を出し、審議は早々に終了するかに見えた。

しかし、陪審員2号が無罪の根拠を一人一人に問いただし始めたところから、審議の様相が混迷を呈していく。彼らは果たして「真実」に辿り着けるのだろうか…。

 

正統派版と違い、あっちへ行ったり、こっちへ行ったり・・有罪⇔無罪の間を揺れ動く陪審員の意見と感情。

これは議論なのか?いや、ただの感想やん?、と思わず登場人物に突っ込んでしまう私。

鑑賞中「え?マジか?」「いやいや、どっちやねん。」「え?そこなの?」と、心の中のドタバタを愉しむことが出来る映画なのだ。

もし、こんな陪審員会議に参加したら‥評決に至る前に「もう、どっちでもええわ。」と、心が折れていると思うのでありました。

両方の映画にご興味が湧いてきた方、最初に正統版「十二人の怒れる男」を見ることをオススメします。

ABOUT ME
Taicho
studio untrapのサウンド担当。美容院の息子に生まれた影響からか。第一印象の人当たりは良し。「早く家に帰りたい」と「大丈夫、何とかなるじゃない~」が口癖。無難かつ合格ラインを見極めて進む『良い塩梅』派。
RELATED POST