一口にピアノと言っても、様々なものがある。
グランドピアノ、アップライトピアノ、電子ピアノ・・・世の中にはいろいろな種類・メーカーのピアノが溢れている。
私にとってのピアノは、大学時代に小学校の教員免許を取得するために習った程度。バイエル終了レベルで留まり、その後鍵盤にふれるのは、友人とのバンド演奏時ぐらいだった。
でも今、クラシック音楽のコンサートが行われるホールの管理業務や、収録業務をしていることもあって、数ある楽器の中でも、ピアノと関わっている時間が一番長い。
羊・鋼・森から出来上がるピアノ
先日、WOWOWで放送された映画「羊と鋼の森」。
以前、めでたい思考回路でも紹介したが、ピアノ調律師の青年が主人公の物語だ。
そのタイトル名にもあるようにピアノは「フェルト=ピアノ弦を叩くハンマー部分」「鋼鉄=ピアノ線・フレーム」「木材=鍵盤、構造」から出来上がっている。
ピアノの製造過程は長い。使用されている木材の乾燥だけで約三年。石の上にも三年より、長い時間が必要だ。
※ピアノの内部構造。
乾燥に長い時間を要するピアノ製造。
鋼鉄にとっても、ジメジメ湿度は錆びの原因にもなる。ピアノに湿気は大敵‥ましてや湿度の高い日本では、管理も大変。
といっても、カラカラの加乾燥状態もダメで、最適湿度は60%前後だと言われている。お肌にも、ピアノにもそれなりの湿度は必要ということ。
コンサートホールには、ピアノ庫と言われるピアノ専用の部屋がある。ピアノにとって、常に最適な温度と湿度の元格納される、特別な部屋だ。
「ピアノ庫で生活したら、さぞかし快適だろうな」と思いつつ、窓も何もない部屋。閉所恐怖症の人には、さぞかしつらい空間だろうなと想像してしまう。
ピアノもいろいろ
ピアノは、鍵盤をたたくことによって、構造内のハンマーが動き、そのハンマーがピアノ弦を叩くことで音を出す。これが、グランドビアノ(平型)、アップライトピアノ(竪型)。
※ピアノの鍵盤は、一般的には88鍵。
88鍵以上のピアノも存在する。この黒い鍵盤の部分。
その他、鍵盤をたたくとセンサーが感知して、そのセンサーの情報を元にグランド(アップライト)ピアノから録音した音をスピーカーから出す電子ピアノがある。
最近の電子ピアノは、海外有名メーカーの「〇×△社製のピアノを録音して使っています」というようなものや、鍵盤・ハンマー部分はグランドピアノのメカニックを使って、「まるで、グランドピアノを弾いているような感覚で演奏できます」のような製品まで存在している。
中には、電子ピアノといえど、軽自動車一台よりも値段が高いものまで登場。
※アップライトピアノの内部。いろいろなパーツが詰まってます。
グランドピアノ・アップライトピアノの生音に勝るものなし。という方も多いが、電子ピアノは、場所もとらず、調律もいらず、サイズによって持ち運びも可能、時代と共にどんどん進化してきている。
良いピアノ・・・とは?
昨年、当スタジオで制作を担当したアルバムの半分は、ピアノが収録されているもの。
ピアノ独奏から歌の伴奏など、毎年、いろんなピアノを録音してきた。
メーカーも、YAMAHA(ヤマハ楽器)、KAWAI(河合楽器)、Steinway&Sons(スタィンウェイ社)、Bösendorfer(ベーゼンドルファー社)、Fazioli(ファツィオリ社)・・・等々。
※イタリアから来たイケメン“Fazioli”社製ピアノ
同じメーカー、モデルだったとしても、個性が異なるピアノ。使用木材や製造年月、保管のされ方や、弾かれている頻度によって、ピアノの鳴り方は違うから奥深い。
録音時において、“良いピアノ”を見つけるのは、なかなか難しい。
ピアニストの方と話していると「このピアノ、今日はちょっと鍵盤が重い感じがする。」「先日のコンサートで弾いた時よりも、今日は断然弾きやすい!」なんてことを聞く。
同じピアノだったとしても、日によって状態は様々。また、ピアニストさんによって、音もタッチも好みが違うので、“良いピアノ”の概念もそれぞれではあるが、「今日は、とても弾きやすい」という日は、録音もスイスイ進むことが多い。
私の主観になるが、良く弾かれている(利用されている)ピアノは、ピアノ自体の価格が安かったとしても、ピアノが全体で共鳴して音を奏でている気がする。
高給取りの選手が代打で出てくるよりも、日々、試合に出ている安年棒の選手の方が活躍するイメージだ。
来月から、芸術の秋にリリースされるCDの収録がスタートする。
今年は、どんなピアノに出会えるかが楽しみだ。
といっても、私が弾くわけではないけれど・・・どうか“良いピアノ”に巡り会えますように♪
軽量で、取り扱いも楽ちんな電子ピアノ、色も選べます。
もう、これで十分やん!というスグレもの。