アナログ人気急上昇
今年からSONYの静岡工場がアナログレコードの製造を30年ぶりに再開したり、近年では若い世代でもレコード人気が高まっている、なんてことを雑誌などで目にする。
Instagramでアナログテープの写真を投稿すると『 いいね ! 』が海外から飛んできて‥外国の人はそんなにアナログテープが好きなの?と感じたのが、つい先日のこと。
そういえば、アナログ(レコード、オーディオテープ等)が占める割合は、日本の市場より、外国の市場の方が高いということも聞く。
アナログのイメージ
「デジタルは音が冷たい」「いや、デジタルはクリアだ」とか、
「アナログは温かみのある音がするのでいい」「アナログテープはノイズが多い」とか、
各会派?の主義主張は置いといて、
私のアナログのイメージは…「トンボ捕り」なのだ。
通っていた専門学校 ( ※参照 ) が古かったせいか、まだまだアナログレコーダー(録音機)は現役。
授業の中にアナログレコーダー調整実習なんてのがあった。
テープレコーダーを使う前には必ず、計測器や調整用テープを使ったりして調整を行う必要があって、時間もかかるしこれが結構大変。その調整のテクをマスターしてないとレコーダーを使わせてもらえなかった。
調整当番に当たった生徒は、録音の授業が始まる前に調整を終えなければならず、30分前にはスタジオ入りがマスト。せっせせっせ毎度毎度、調整していた。
これからデジタルの時代というのに、時代に逆行した実習だったが、なかなか貴重な体験だった。
抜き足、差し足…
再生/録音を行う部分をヘッドというのだけど、そのヘッドは、磁気テープの録音・再生を繰り返すことでテープの影響を受けてヘッドが磁化(磁石化)された状態となる。
これをヘッドの”帯磁(たいじ)”といって、高音が聞こえずらくなったり、ノイズが増したり、クリアな音で再生できなくなるという弊害が起こる。
そんな状態を解決するためにテープレコーダーの調整時に、消磁(しょうじ)を行う。
(※かなりざっくりとした技術説明ですので、詳細はwikipediaなんかを参照ください。)
まぁ、なんしかクリアな音質を保つために消磁しないといけないのだ。
消磁をするには消磁器(アリクイの口のような形をした機器)を使うのだけれど、この機械、使用するときには少々コミカルな動きすることになる。
レコーダーの遠くから時計回りで大きく円を描いて静かに近づき、近づくにつれてだんだん円を小さくしていく。録音、再生ヘッドを消磁した後、反時計回りの小さい円を描くように静かに離れ、離れるにしたがってだんだん大きい円を描いていく。という風に教えられた。
イメージとしては、トンボ捕り。
トンボの目を回させて捕まえる手順をイメージしていただければいいかと思う。
最初に先生が、その動きをした時には「マジか?え、これってネタ?」と思ったのだが、クラス全員がその動きをマスターする頃には、教室には秋の田園の風景が広がっていた。
クラス全員、赤とんぼくらいは楽に捕獲できるテクを身につけていただろう。
うちはデジタルです
当スタジオにもTASCAMのアナログテープレコーダーがあるのだが、もう何年?十何年も稼働してなくって、今はオブジェ化している。
もちろんデジタル機材にも調整は必要なのだが、アナログテープレコーダーに比べてかなり楽。ドライバー1本で調整できるなんて感じである。
時代は目まぐるしく変わっていくのだ。
たまに、アナログテープレコーダーを動かしてみたい衝動もあるのだが、実際に稼働させるのは難しいだろう。計測器、消磁器、調整用テープなど手に入れないといけないものが山ほどある。しかも高価だし。
麦わら帽子と虫取り網なら、近所の100均でお安く入手可能なんだけどな~。