先日、リスノ雑貨店で撮影が行われた。
関東を中心に活動を続けるI’s CUBEと、オープン間もない山奥の雑貨店が、こんなカタチでコラボできた背景には、十数年の歩みがある。
「涙の向こう・・」 / 「羽」
2007年「放送時間1分、内容はフリーテーマ」という趣旨で、ショートアニメ作品を制作する『アニ*クリ15』というオムニバス企画があった。
15名のクリエイターにより制作された、15本の作品。
映画「天気の子」「君の名は」で有名な新海誠監督をはじめ、現在活躍中のアニメーション関係者も多数参加されていたこの企画。
その中に、現在「新世紀エヴァンゲリオン」制作に携わっているスタジオカラー社の林明美監督の作品がある。
タイトルは『涙の向こう・・』(制作当時はガイナックス所属)。
その音楽を担当したのが、I’s CUBE(宇治田愛さん・松村裕二さん)だ。
『涙の向こう・・』に使われている楽曲
「羽」 (作詞:宇治田愛 / 作曲:松村裕二)
アニメーションは、雨粒の流れる窓際に座った女性、折りたたみ携帯電話を閉じるシーンから始まる。
『ガラスに映った目は 思っていた以上に錆びてた』
Aiさんの歌からはじまり、アニメーションが展開される約1分間。
登場人物の女性は一言も発さず、会社、自宅、通勤…彼女の日常描写とI’s CUBEの歌のみで展開されていく。
この歌詞の『錆びてた』という表現が、ちょっと悲しげな女性の表情とマッチしていて、アニメーションの冒頭から世界に引き込まれるというのが隊長の感想。
たった1分だけで、彼女の悩みや心の動きが手に取るように感じられて…映像と歌が届ける情報量の凄さを感じさせられる作品でもある。
リスはこのアニメーションを見る度、ひとり暮らしをしていた大阪での生活を思い出す。
マテリアルブック(インタビューや、制作秘話が書かれた本)には…
林明美監督「打ち合わせらしい打ち合わせは、イメージボードを見てもらった一回キリ。人にイメージを伝えるのって賭けだったけど、出来上がってきた楽曲はイメージにぴったりで、うまくいった。本当、音楽に関しては、I’s CUBEさんありがとうございます!っていう感じ。」と綴られている。
マテリアルブックには、各監督のインタビューや制作秘話掲載が掲載されている。
フクロウLIBRARYで閲覧できます。
この「羽」をきっかけに‥Aiさんの生み出す歌詞の世界観と歌唱力、裕二さんの作曲・編曲センスに私達はハマっていった。
同郷のよしみ?から、密な関係へ
『アニ*クリ15』にクリエイターの一人として参加し「ジャイロソプター」という作品を制作した薮田監督。
薮田監督は、隊長の昔からの友人。以前、勤めていた頃、東京出張の際に、薮田監督と食事に出かけたことも度々あった。
ある日「I’s CUBEというユニットがいるんですが、今日、LIVEがあるんです。よかったら、観に行きませんか?」と誘われたのがきっかけとなり、お二人を紹介してもらった。
色々と話していると、松村裕二さんは滋賀県出身ということが判明。
同郷のよしみ?もあって、そこから作曲や編曲のお仕事をお願いし、CD制作、ゲームやアプリケーション用の音楽制作プロジェクトで、何度もご一緒させてもらった。
そんな出会いから「うちのスタジオでレコーディングする?」という会話となり、制作されたCDが数枚。
リスがデザインをはじめたのも、I’sCUBEさんとの出会いがきっかけ。思えば、この10年間、たくさんの時間を一緒に過ごし奮闘してきた仲間でもある。
リスノ雑貨店でMV収録?!
毎週、火曜日の夜に「I’sCUBE Tuesday midnight blue」という配信LIVEをしているI’sCUBE。
先日、お二人が近くまで来ることがあり、うちのスタジオから「配信できませんか~?」と相談を受けるも…通信速度が市街地に比べ、1/10のお山。
「多分、配信したらカクカクなるか、途切れると思うよ。」と言うと「じゃぁ、MV録らせてください~♪」と、リスノ雑貨店でLIVEを収録することになったのだ。
しかし残念ながら、うちに撮影機材は無い。
いつも配信Liveで使用している撮影機材を持ち込みます!‥と、当スタジオでは見かけないカメラや照明機器が続々運び込まれた。
Youtubeでの配信や映像は、ある種…第一線のアーティストやクリエイター達と同じ舞台にあがるようなもの。
テレビ化したYoutubeでは、画質や音質、魅せ方ににもこだわらないと見劣ってしまう…
「だから、思い切って投資することにしました♪」と機材を手際よくセッティングする裕二さん。…勉強になります。
私達も微力ながら、撮影をお手伝い。カメラとレコーディングのテスト、そして、リハーサルと進行していく。
ハンディカメラを手に、音確認中の図
リスは、固定カメラ左サイドを担当。隊長は、ハンディカメラを持ち移動撮影。
このハンディカメラとブレ防止の装置(ジンバルという名称)が重たくて、次の日、筋肉痛となりました。
昼過ぎから準備を始めて、本番を始める頃に辺りは暗闇。
暗くなったことで、照明が良い雰囲気と思っていたが…編集時、各カメラの色味を合わせるのが大変だったそうな。なるほど…映像の分野は知らないことが多い。
そんなこんなで、シネマチックに編集を施されて公開されたMVがこちら。
ちなみに…背景の一部になっている、リスノ雑貨店の白い漆喰の壁。
10年前、スタジオをオープンする際に、無理いってお二人に手伝ってもらった壁なのです。
まさか10年後…こんな形で活きるとは、全く想像してなかった。
次はどんな展開が待っているのだろう‥わからないからこそ、楽しみである♪
I’s CUBE
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リスノ雑貨店 / studio untrap
《 おまけ 》
撮影時、リスノ雑貨店の看板猫ギンジは、ちゃっかりリハーサルに参加。
和みコラボ、ここにありです。
Ai × ギンジ
《 Pick up ★ 》
『アニ*クリ15』林明美監督作品「ナミダの向こう・・」のテーマ音楽「羽」はこちら。(リスノ雑貨店にて撮影・2021/3/30公開)
うむーアニメーションも見ていただきたい!
Aiさんは、神奈川県川崎市にて、ボーカルレッスンも行っておられます♪