緊急事態宣言が解除されて約1か月。
学校がスタートし、県をまたいでの移動や、USJの営業再開など、少しづつ動き出した世の中。
でも、コンサートやイベント業界の厳しい状況に変わりはなく、周りの関係者が発信する情報を見ている限り、まだまだ先を照らす光は乏しい。
オンライン利用の音楽コンサート
密な状態がデフォルトなコンサートにおいて、今、できることは主にオンラインによるもの。
大手音響機器販売・制作の会社にいる知人に聞いたところ、コンサート向け音響機器販売の動きはストップしているが、オンライン配信に関連する機械に関しての問い合わせが驚くほど多いとのこと。
現に、音響やマイクなどサウンド関連の機器を扱うネットショップを見ていても、カメラの切り替えを行うスイッチャーは入荷時期未定。
普段はいつも在庫があるミキサーやヘッドフォンまでも入荷まで約1ヶ月の品薄だ。
多くの方がオンラインによる発信環境を整えようとしていることが、手に取るようにわかる。
今、Youtubeの他、facebookやInstagramでもライブ配信は簡単にできる。
音楽で生きてきた人から、趣味で楽しむ人まで、世の中にプレイヤーが溢れたコロナ時代。
誰でも気軽に配信できる環境&コロナショックによって、生活にオンライン配信は普通に存在し、無料配信コンサートのスタート、次段階として、有料配信のコンサートも増えてきた。これからきっと、どんどん増えるだろう。
がしかし、私達は正直なところ…
「有料配信コンサートを見たい」という気持ちがどうも薄い。
観る気になれない理由を考えてみる
巨大ロックフェスの中止が発表されて、配信ライブが増えていく夏。
6/25(木)サザンオールスターズは、横浜アリーナの無観客有料配信ライブを8つのライブ配信メディアにて行う。
チケットは¥3500。高音質・高画質のライブを、家族みんなで見ることができる。
紹介Youtube
スタッフさん会議の様子も見れます♪
EXILE率いるLDHは、7月からサイバーエージェントとタッグを組んで有料配信サービスをスタートさせるようだ。
音楽に携わる身として、コンサート・イベントが活気を取り戻してほしい気持ちはもちろんある。でも、我が家は、どうもこの有料配信に興味が薄い。
なぜ、観る気になれないのだろう。理由を考えてみた。
『リアルタイム&オンラインで見る必要性』
音楽において、リアルタイム&オンラインでしか見られないという特別感がどこまであるか。その瞬間を共に過ごしたいという特別感がなければ、録画でいいなと思う。
『体感してこそ、コンサートやん』
画面では、会場での体感に叶わない。コンサートは、音の響きや振動、照明、会場の雰囲気等々、”体感”も含めてのもの。オンラインでは、肌に感じる空気感は望めない。
『likeであってloveではない』
このアーティストは好き。でも、有料配信コンサートを見るほどではなく、楽曲を聞いたりYoutubeでMV見れたら充分というパターンが多い。
めちゃめちゃドはまりしていて生の映像が見たい、応援していて少しでも力になりたい、などのLove要素が強いアーティストが、今はいないのが悲しいところ。
なんとも、身も蓋も無い話になってしまった。
では、どんな有料配信なら観るかと考えると、『普段は見れないものが見られる』ものなら観てみたいんじゃないかと思う。
コンサートDVDを発売していないアーティストの“初”配信コンサート(コンサートチケット入手が難しいなら尚更)や、“コンサートの設営からリハーサル、公演終了まで、全工程、見せます!”なんて大胆企画モノなら、興味津々だ。
サザンオールスターズも「42th結成記念日ライブ+初めての有料配信ライブ+コロナショックだからこそ実現されたライブ」という要素は、ファンの方々にとって特別感を生んでいるに違いない。
オンラインとオフラインは、別物
有料配信コンサートは、動員数が決まっている会場とは違って、何倍ものチケットを売ることができる。
でも、LIVE DVDのような音質・画質・カメラワークでライブを提供するには、配信するためのスタッフや機材手配などが必要だ。
そうなると、採算がとれるのは、ごく一部のネームバリューがある or LOVEのファンが多いアーティストに限られるだろう。
配信コンサートは、手軽にできて、一見簡単に見える。でも、有料配信を購入してもらうハードルは高い。
配信コンサートについて相談されることもあって、日々知識と情報は蓄積されていくが、難しさもよくわかる。
今や無料視聴のYoutube動画も、クオリティの高い映像がそこらにあるので‥
ただ「生のコンサートが配信されている!」という驚きはもうないし、有料であれば、なおさら肥えた目を満足させられるレベルが必要になる。
そして、そもそも私達がそうであるように、お客様も…
有料配信コンサートを見る気はない。
でも、コンサートが開催されるようになったら、また行きたい。
そう思っている人も多いと思う。
配信コンサートが増えていく傍ら、興味のベクトルは、従来のコンサートに向いたまま。
この正直な感覚は、今後の業務におけるモノサシになると思っている。