私たちの「スタジオは山の中」にある。
市街地まで車で20分の距離だが、最寄り駅から歩くとなると、ちょっとした登山になる。
そんな場所なので、鹿、兎、狸、狐、猪・・・といった動物が周りに生活している。
車の前を鹿が横断していくのを見ても、驚かなくなった。
「白い人が草むらに消えた」
先日、スタジオ二階にいたリスがこう言ってきた。
リスが言うには‥
スタジオの二階から外に動く影が見えたと思ったら、白いTシャツに作業ズボンの人が、雑草生い茂る側道の中に消えていった。
草の合間から、白Tシャツが時々見えるけど、何をしているかは分からない。
じっとしてるし、何か採集したわけでもなく‥もしかして‥
用を足しているのでは!?
野に肥やし?疑惑
こんなところで、お尻を丸出しにしたら、蚊・ヘビ・ハチ‥危険がいっぱい。
しかし、抗う衝動が抑えきれなくなったのかもしれない。
さすがのリスも「なーにーしてるーんですーーかー?」と窓から大声で話しかける勇気はなかった模様。
お山では、野生動物はそこらで見かける風景なのでびっくりしないが、知らない人がスタジオ近くを歩いているのは非日常なので、驚いてしまう。
MBS毎日放送の「住人十色」(建物・お宅訪問の番組)で、8月に放送されていた回。
岡山の山の中に住むデザイナーの方も「知らないおじさんが歩いていると、野生動物以上にビックリする。」とおっしゃっておられ、“山の住人あるある”だと思った。
またその翌日は、うちのネコが窓の外を注意深く見ていて‥鹿かしら?と思ったら、謎の老人。
うつむいて何かを拾っている。どうやら栗拾いにやってきたようだ。
我が家の周りには、けっこうな数の野生の栗の木があって、秋になるとそこらじゅうにイガが落ちている。
栗の木をゆさゆさ揺らす猿人‥もとい、老人。
なんせ野生の栗。
虫がついてそうだし、我が家では観賞用だったが、秋の味覚をたんと持ち帰られた。
昭和の仮面ライダー?令和のモトクロスライダー?
昭和の仮面ライダーの戦いの場の定番といえば・・・採石場。
「爆破のシーンが撮影しやすい」なんて理由で、使われていたと聞く。
その採石場に似た、土砂が積まれた小山が、うちの近くにある。
ある日、ブィンブィンと静かな山に音が響き、何事かと思ったら、モトクロスに乗ったライダーが、その小山を走っているではないか。
山の具合が、丁度いい塩梅なのか、斜面を軽快に登っていく。
いい場所を見つけたぜっ!という感じなのか知らないが、ライダーはあの土砂山の不安定さを知らない。
大雨の後、崩れている箇所も見かけたので、お巡りさんに
と相談したことがある。すると・・
そうか、不法侵入になるのか。
「次に見かけたら通報だな。」と思っていたら、モトクロスライダーも現れなくなった。
「次はと思うと、なかなかやってこない法則」なのか?
ブィン
大胆な行動、お気をつけあそばせ。
誰も見ていなきゃいい。
山の中なので、誰もいない。
みたいな意識があるのかも知れないが、お山には、それなりの危険がつきものだ。
先ほどの白い人や、栗拾いの老人。
この時期、草むらに入っていったら、知らぬ間に大きなスズメバチの巣を刺激していたなんてこともある。
モトクロスの人。
もしも転倒して土砂に埋もれたり、気を失っても誰も気づかない・・なんて可能性もある。
誰も見ていないと思っても、案外誰かが見ていたりする。
Every Breath You Take ?
うちのリスは、堂々と「あかんで、そんなん!」と物申し、証拠をしっかり収めるタイプ。「山の中、見てる人はいないだろう」と考えた大胆行動は、お控えくださいませ。