ドライブ時に聞く音楽といえば‥
スマートフォンから、音楽定額サービスをBluetooth接続で流すのが、今風だろうか?
8トラックテープってご存知?
半世紀前?頃、カセットテープが世の中に認知される前、8トラックテープというものが存在した。
一般的には、カーオーディオ用のテープとして普及していた。
– 8トラックテープとは –
カートリッジ式の磁気テープ再生装置および媒体の一種を指す名称。
2トラックのステレオチャンネルが4つあり、合計8トラックの信号が録音されていたため、この名前がある。
ちなみに、カセットのサイズは分厚い文庫本の大きさ。その中に、音楽を録音した磁気テープが入っている。
※こんな感じのカセットでした。
うちには車が無かったので、聴くことが出来るのは唯一、叔父さんの車の中。
従妹とドライブの際は、「子どもアニメ・ヒーローもの主題歌セレクション」が定番のドライブミュージックだった。
「こどもの歌・大全集」「TVマンガ主題歌・全集」といったタイトルのカセットを、「次は、僕の番」「帰り道は私の番」と、従妹と順番を交代して楽しんでいた。
構造上、早送りが出来ない8トラック。
4つあるチャンネルを切り替えることが出来るが「ひたすら聞きたい曲が出てくるのを待つ」という我慢が必要だった。
子ども心に「10分先の世界に行って、あの曲が聞きたい。」なんて、考えていたことを覚えている。
8トラックのカセットは、叔父さんが買ってきてくれることが多かった。
テープが切れたり(たまに起こった)、クールが変わって新しいアニメのシリーズが始まるなんて時が、新作入荷のチャンス!
といっても、新作といいながら、収録曲の半分は前のシリーズのものみたいなものもお約束だった気がする。
歌っている人が‥違う‥
新しい8トラックテープが購入されると、そのテープを聴くのが待ち遠しく、従妹とドライブに行くことが楽しみで仕方なかった。
ある日、新しい8トラックを聴いていた時‥
「あれ?このテープ。主題歌は一緒だけど、歌っている人がTVの声と違う・・・ニセモノが歌っている?」と感じた。
確証は、全くない。
だが、明らかに違うと感じる。
歌っているのは・・・誰?
歌手名を見る / カセットの販売元を調べる、なんて、子どもに考えつくはずもない。
好きなアニメ主題歌を期待いっぱいで聞いた時、声が違うというのは、なかなかの衝撃。なんで偽物が歌ってるのかとショックだった。
そして、いつの間にか「これは、本物のやつ。これは、ニセモノのやつ。」とテープを判別していた。
ただ、ニセモノのものでも、全収録曲がニセモノと言うことではなく「〇〇という曲だけがニセモノで、あとは本物」という間違いを探せ!のような複雑な仕様。
小さな違和感を持ったまま成長し、ヒーローものからも卒業。ついには、8トラックカセットも見なくなり、カーオーディオも姿を変えた。
違和感は正解だったようだ
子どもの頃に感じた違和感は正しかったかどうか?
答え合わせをするツールが、現代にはネット上にある。Yahooオークションというヤツだ。
当時の8トラックが、オークションで販売されているのを目にする。
出品にあたって、商品写真を掲載しておられる方も多く、パッケージの裏面などが読み取れる。
「テレビマンガ大会」「テレビマンガ大行進」「こどもの歌大全集」など、タイトルや制作元、発売元も複数あって本家ではないものが多数。
また、演奏者、オーケストラ、歌手も様々で、主題歌を担当している歌手とは全く別人の名前が並んでいた。
子ども心に感じた、あの違和感は正解だったようだ。
今では、制作予算の事もさることながら、レコード会社・事務所が異なる楽曲をひとまとめにして発売するには、使用権利の調整の話など難しいことがあるだろう、と分かる大人になった。
本家に頼みたくても諸問題があり、本家ではない/偽物=カバーだからこそ、制作可能という背景もあったのかもしれないが、子どもにわかるわけもない。
当時は、カバーという概念がそもそもなかったように思う。
今、当時の8トラックを聴く機会があれば、いちカバーソングとして、本家との違いを楽しめるような大人になっている私がここにおります。
これも音楽ビジネスの世界なのです。
※こちらは、本家。
コロムビアレコード販売。歌・藤岡弘/藤 浩一(子門真人)版。
むかし、母親が「森進一大全集」というのをGSで安く買ったら、インストゥルメンタルで、歌が入ってないと怒ってました。
コメントありがとうございます。
昔は、いろんな商売がありましたね。
森進一が作曲している楽曲ばかりならともかく、そうでもないでしょうに・・・「なんともな~」な大全集ですね。