隊長!発信!

まもなく開演いたします♪

コンサートが開演する前。

会場内に流れる「まもなく開演いたします」という案内アナウンス&開演を知らせるブザー(ベル)。

日頃、ホールの管理や音響をやっている身として、ホールに訪れた時やコンサート観賞する時は…

「どんな開演ブザーの音?」「開演前アナウンスでは、どんな声&内容なのか?」が、非常に気になってしまう。

 

ブ~~ッ?チロリロリン?

コンサート開演の何分か前、お客様に「まもなく開演しますよー」とお知らせするための音が鳴る。

これらは「予ベル・本ベル」もしくは「1ベル・2ベル」と呼ばれている。

ホールのサイズや動員数の規模によってタイミングは異なれど、予ベル(1ベル)は、3分前・5分前に鳴らされるパターンが多い。

開演時に鳴らす本ベル(2ベル)は、公演内容や演出によって、無い場合もある。

このベル音。
少し古めの公共ホール / コンサート会場なら「ブーーー」というブザー音が多かったように思うが、今ではチャイム音が多い。

電車の発車ベルが“ジリリ~ン”から、“チロチロチロチロリン♪” や “チャリチャリチャリンリン♪” と変わっていったように、ホールでも、ちょっと無骨なブザー音は敬遠され、愛想のあるメロディ音に変わっていったのも、時代の流れだろうか。

このチャイムの音色やメロディーも、ホールによって様々。

「これはオルゴールっぽいけど、シンセサイザーで作っているなぁ」とか「ちょっと電車の発車音みたいな感じかな」と、私はいつも10数秒の音楽を楽しんでいる。

 

最近は、こんなマシーンで再生もしていたり

 

うちのスタジオで、コンサート音響を担当させてもらっているアーティストさんの中には、自ら開演のチャイムを作曲される方もいる。

公演はまだ始まっていないと思いきや、実は「一曲目にお送りした曲は『開演のチャイム』でした。」という感じ。公演の細部まで、アーティストさんの演出は施されている。

「開演に先立ちまして…」

開演の前に流れるのは、ブザー(ベル)だけではなく、コンサートをご覧いただく際の注意について、アナウンスされることが多い。

アナウンスの内容に多いのは‥

 

「携帯電話やアラームの鳴る電子機器の電源をお切りください。」
「録音・録画・撮影はご遠慮ください。」
「災害発生時は、会館係員の指示に従ってください。」等

 

最近ではSNSでの拡散を狙いがあってか「出演者の〇△□に限り撮影、録画、SNSで拡散していただいてもかまいません。」というお知らせもあるようだ。

今や、一人一台スマホ時代。

着信が鳴り響いたり、無断の撮影や録音は困るので電源を切ってくださいとお願いする一方、「この曲は写真OK!」とスマホを利用して参加型にすることもできる。

スマホを取り入れた手法によって、SNSの拡散を最大限に活かし、知名度アップを図るツワモノやイベントも多い。

普段、ホールの音響担当として、アナウンス「開演に先立ちまして皆様にお願いを申し上げます~」を流す立場にいる私。

毎度感じることだが、お客様にアナウンスをきちんと聞いていただくことは、なかなかもってムズカシイ。

コンサート前といえば、お客様もワクワク&少しテンションも上がって、お連れ様とのお話に夢中な方も多い。

そこに、開演前アナウンスが流れても、右から左へ受け流されて、オシャベリが優先となる。

聞いてもらいたいな~と、私は途中、秘かにアナウンスの音量を上げてみるも、それに比例してオシャベリのボリュームもアップ。こっちを上げれば、あっちも上がる。

開演前のアナウンスを聞いてもらうのは、一筋縄ではいかない。

このアナウンスの声は誰?

開演前のアナウンス中、客席がシ~ンとなる場面を見たことがある。

以前に、フェスティバルホールで観た、由紀さおりさんのコンサート。開演のアナウンスで流れてきたのは‥

 

おや?この声‥?!

 

あの「伊東四朗さん」の声だった。

私たちの世代なら、電線音頭のベンジャミン伊東。リスの世代なら「伊東家の食卓」や「タフマン」の伊東四朗さんだ。

最初は、ざわついていた会場も「あれ?この声は・・・」と、一気に静かになった。

あの伊東さん独特の口調と声で展開されていくアナウンス。

注意の内容をしっかりと伝えないといけないということからか、少しスローなテンポ。そんな中「写真撮影はダメですぞ。」は、ちょっとドスが効いていて効果抜群。

時折、冗談を混ぜつつも語られる開演前アナウンスは、一瞬で観客の心をワシ掴み。

アナウンスの最後には、拍手まで起こった。これは私の中でも、記憶に残るアナウンスとなった。

聴く姿勢を整えましょう♪

お客様が聞きたくなる開演前アナウンス。

著名なエンターティナーにお願いする他に、方法は無いものだろうか?なんてことをよく考える。

TVのバラエティ番組のように、前説をするのも一つ。

人が出てきての注意喚起は、惹きつけ効果がある。ただ、公演前の余計な印象を与えかねない。

次に、映画館よろしく「映画泥棒」のパロディバージョンはどうか。

 

思わず見てしまう、映画泥棒の案内

 

ついでに「曲中のホール出入りはやめましょう」「歌うのではなく、聞きましょう」的な、他のお客様の迷惑になるのでNGですよーという行為もさらっと織り交ぜてみたり。

誰かパントマイムの上手な人を探さねば‥とその前に、スクリーンが公演に不要な多くのコンサートでは、邪魔になるのでムズカシイ。

ただ実際のところ、開演前アナウンスやベルは、アーティスト・ホール・主催者によって少しづつ違い、工夫されていることも多々ある。

なので、コンサートへご来場の際は、ベルが鳴った時点で、聴く姿勢を整えていくのがオススメ。

普段聞き流していたアナウンスにも、公演のエッセンスが散りばめられているかも知れません♪

 

 

 

ABOUT ME
Taicho
studio untrapのサウンド担当。美容院の息子に生まれた影響からか。第一印象の人当たりは良し。「早く家に帰りたい」と「大丈夫、何とかなるじゃない~」が口癖。無難かつ合格ラインを見極めて進む『良い塩梅』派。
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