私は20代の頃、渡米して音響の専門学校に通っていた。
「ありやん(仲間内では”ありやん”と呼ばれている)、アメリカ行っとけ、行っとけ~♪」と背中を押した友人がいる。
ハサミもいろいろありまして
その友人は、油絵画家として活躍している。
彼の名前は、“藤井路夫”君。
仲間内では尊敬の念を込めて藤井画伯と呼んでいる。
ふら~っと渡米してNYでしばらく暮らしてたという、ちょっと変わった経歴も持つ。その経験から「行っとけ、行っとけ~」と、私の背中を押したのだろう。
彼は、中学から絵が超絶上手かった。
美術の先生からも一目置かれる生徒。美術部のホープ。同級生みんなの予想?通り、絵画の道へ進み、今に至る。
中学校の時、学期末テストの最後に美術のデッサンテストが行われた。
テストは、時間内に課題のモノを描くという静物画のデッサン。描いた作品は廊下に貼りだされる。
何年生だったか忘れたが、題材は「ハサミ」だった。
自分が描いたモノは、形がちょっとイビツで、まったく切れる気がしないハサミ。ハサミはハサミでも、カニのハサミに近かった。
廊下に貼りだされた作品の中でも、藤井君の絵は別格。同じ中学生が描いているとは思えない。
形の正確さ、影、素材の感じなど、私の描いた「カニのハサミ」とは大違い。画用紙の上に、まるでハサミがが置かれている感じ。さぞ切れ味も抜群であろうハサミがそこにあった。
※イメージ:まさしくこんな感じかな?これは、写真をそれっぽく加工にしたもの。
絵を眺めつつ、テストの時間内(45分だった記憶あり)で、ここまで描き込めるもんだと感心した覚えがある。
残念な生徒
以前にグラフィックデザイナーにシューティングゲームの背景画像を発注して、データを取りまとめるという仕事をやった。
その際に、少しくらいは絵心がある方が良いと思い、当時、美術研究所をやっていた藤井君にデッサンの手ほどきを受けた。
「私には、絵心が無いようだ。どうも、モノの形がうまく把握できないみたい。」と相談してみたところ、「それならば、こんな道具を使ってみたら?」と教えてもらったのがデッサンスケール。
透明のプラ板に方眼が描かれている。
その方眼を参考にすると、描きたいモノの形・尺が把握しやすい。
「こんな優れグッズがあるのなら、中学の美術の授業で紹介しておいてくれたらいいのに。」と思うような代物だ。これで、モノの形も楽にとらえられるやん。と思ったのも束の間。
「右から、一、二、三、四個目の目盛りから、左の、一、二、三個目の目盛りの位置へ横線を引いて・・・っと、あれ?ちょっとおかしいぞ。左は二個目の目盛りまでだった。」と何ともスローペースで描く私。
「この斜めの線は、この位置から、だいたいこんな角度で左下に向かって伸びているかな?」と、スイスイと描いていく藤井君は、デッサンスケール入りのメガネでもしてるんじゃないか?と感じるくらい、スピードも、正確さも別物。
「毎日、ちょっとずつでも描いていると、だんだん慣れてくるよ。」とアドバイスされたものの、そこは持ち前の三日坊主が顔を出し、デッサン帳の最初の数枚で練習が終了。
なんとも残念な生徒。
私には、絵心を知る道のりが果てしなく遠い。
第9回 藤井路夫 油絵展 -阪急うめだ本店-
先日、藤井君のアトリエ近くに行くことがあったので、久しぶりに尋ねてみた。
翌週に近づいた油絵展の準備の最中だったが、少しだけ雑談。アトリエには、見たことない絵の具や画材がたくさんある。
山間風景を描いた作品も見せてもらった。
それが、私の率直な感想だ。
絵心無い私が述べた感想に説得力があるか無いかは置いといて、藤井画伯の風景画は、風や匂い、温度までをも感じられると思う。
今度、大阪のうめだ阪急で油絵展を開催するらしい。
百貨店の美術画廊で油絵展をする‥私には想像もできない世界だ。
第9回 藤井路夫 油絵展 2019年3月13日(水)~19(火)
うめだ 阪急本店 7階 美術画廊にて。
– 藤井 路夫 Web site –
この先も、まだまだ作品を生み出し続けるだろう藤井画伯。その活動が、今でも私の背中を押し続ける。
ご興味のある方、お近くの方は、是非是非、足をお運びくださいませ。遠いよ~という方、HPで作品が一部掲載されていますので、ぜひどうぞ。
醤油をかけて一口食べたら、!杏仁豆腐だった。これが衝撃すぎて、時々ムフフ笑いをしながら画伯のお話しを読みました。風や匂いも感じられる風景画が描けるなんて素晴らしいですね。
絵心無い私からすると、画伯の生み出す作品は超人or仙人の域です。機会があれば、是非、ご覧いただきたい作品でございます。
杏仁豆腐に醤油、新しい味覚をお試しいただきたいです。