TOKYO コンサートホール・ガイド
先日、仕事の合間をぬってスタジオの掃除をしていたら、一冊の本を発見した。
TOKYO コンサートホール・ガイド
東京(一部、東京近郊のホールも含まれている)のコンサートホールを紹介している書籍。その帯に、「”いちばん大きな楽器”音楽を美しく響かせる、コンサートホールの魅力!」とある。
音楽を美しく響かせるだけでなく、コンサートホールの魅力は他にもいろいろある。
形状、造りもさまざま
仕事柄いろいろなホールに行く。
一口にコンサートホールといっても建物、ホールの形状、客席など様々である。平成中期以降に建てられたものは、ホールの個性を前面に出しているものが多く、モダンで美しいというのが私の印象だ。
昨年末は、大阪のクラシック音楽専用ホールのいずみホールでコンサート収録を行ってきた。
客席天井から吊るされたシャンデリア、舞台正面に鎮座するパイプオルガンなど、なかなかのゴージャスさ。客席に座っているだけで、ちょっと優雅な気分を味わえる。これぞ”コンサートホール”というにふさわしい造りだった。
※イメージ:こんな感じのシャンデリアが、天井から8基も吊り下げられている。
コンサートホールの代表的な形状は長方形の箱型。シューボックスタイプと呼ばれている。
その他に、ステージからすり鉢状・扇形に客席が並んでいるものなどがある。
兵庫県立芸術文化センターの小ホールは、すり鉢状アリーナ形式。サイズは少し小さめだが、客席からステージが近くて観るには楽しいホール。
窓ガラス?壁?
ホールの壁の形状や材質もいろいろあって、コンクリート、レンガ風、木など。ちょっとかわった壁の材質にガラスがある。
なら100年会館の中ホールは壁がガラスだ。
客席を取り囲むガラス面に、うっすら入る光が幻想的な雰囲気を醸し出している。
このホールに行くたび、客席を取り囲むガラスを見て「いや~、拭くだけでも大変だろうな。」といつも考えてしまう私。
※なら100年会館(中ホール)は、ホールの壁はガラス。
天井高もあって、なかなか素敵な空間。
本番中は、このガラス面に照明の色が映るので、お客様の反応も上々。
ただし、音響さんにとっては、このガラスが悩ましい。
音をスピーカーで拡声して客席に流す際、固い材質の壁だと反射音が多く、音量を大きくすると「ワ~ン」となる。音のコントロールがむずかしいのだ。あるホールでは、反射音を少なくするために、壁に厚めのカーテンを吊るし吸音しているところも。
また、特殊なパターンとしては、ステージ正面の壁が開くと一面ガラス張りになっているホールがある。大阪のフェニックスホールだ。
街中にあるホールの特性を活かしてか?壁が開くと、そこには大阪の街の風景が広がる。
夜のコンサート。
アンコールで壁が開いて、目の前に広がる大阪の夜景。
そこに流れる音楽は、出来ればちょっとスローな曲が希望。サンバチームが登場!とかは、できれば勘弁願いたい。
そして、この壁。
開閉するのに要する時間は、5分。
よほどの超大作を演奏していない限り、曲中のベストなタイミングで開くというのはムズカシイので要注意。