表現とイメージ
3枚の写真をご覧ください。
どれが「かわいい」ですか?
C
「かわいい」に隠れているイメージは様々。
A「ピンクのバラと白いレースで女性らしい感じが好き」
B「黒にカラフルなハートがいい!」
C「葉っぱと木の色合いがナチュラルで素敵」
これら全てが「かわいい」と表現されることもあるので、言葉が意味するイメージは人によってそれぞれだなぁと感じる。
その他にも「ポップ」「ガーリー」「ボタニカル」「エレガント」「クラシカル」といったような言葉のほか、「キリッと」「パリッと」「シャキーン」といった擬音語まで、表現は千差万別。
デザインのご希望をお伺いした時、使用された言葉には、どんなイメージが元になっているのかを考える。
大体は、提出される素材・情報(写真や内容等)からわかるけれど、それ以外に、その方のHPやこれまでの作品を見たり、持ち物や服装から好きな雰囲気のヒントを感じ取ってゆくことも。
それでも、中には「?」が頭に浮かぶ時もあって、自分に近いものや好きなものほど掴みやすいけれど、知らない分野のものは悩む率が高い。
やればやるほど、デザインをする技術の他に、イメージを感じ取る力が重要だなぁと思う。
リスのデザイン手法
「何もないところから、デザインをしていくのって大変ですよね」と言っていただくことがあるけれど、私のデザインは、イメージ消去法+αリス視点で作成している。
多くのデザイナーさんは、まずラフ案を書いたり、レイアウトを決めたりする人が多いと思うけど、私にはどうも向いていない。何度かやってみたけれど、結局パソコン上でまた変更したりと時間の無駄。
進まぬペン
そもそも独学ではじめた我流デザインは「こんな感じにしよう!」という構想が湧いてから始めているのではなく、作りながら組み立てているから、書けないと気づいた。
なので私は、パソコン上で一気に作るタイプ。
チラシだったら、A4サイズに掲載する情報(写真や文字情報)をざざっと配置。そこから、レイアウトをしながらイメージを膨らませていく。
「これだ!」というイメージはなくても「これは違う」というイメージはある。その視点を活かして絞り込んでいくこと。
そこに、コンセプトやターゲットの年齢層などを加味して、デザインを仕上げる。
この、ふわーっとした進行方法。
時にゴールにたどり着ける(=仕上げられる)のか?と彷徨う時もあるけど、ある瞬間「これだー!」と行き着く。
このときの「これだー!」はリス的にいいと思うデザインのこと。
誰目線で作成するか
デザインができたら、ご依頼くださった方に見てもらう。
この瞬間が一番ドキドキ。
ここ数年、大きな修正の要望をもらうことなく、微調整のみで完成に向かってきた。この繰り返しで、希望イメージの共有も、デザイン時の消去法作戦も、自分の進め方としてすっかり定着。
ただ、時によぎるのは‥誰目線で作成するか、ということ。
例えばコンサートチラシ。
主催者(ご依頼主さん)・デザインする人(リス)・チラシを見る人(お客様)3種の立場があって、作成段階では、ご依頼主さんのイメージを形にすることが第一優先。
修正の希望があれば、チラシは私の作品ではないので、ご希望に沿って修正を行う。たとえ‥リス的ベストデザインから離れたとしても、この時のゴールは、ご依頼主さんのOKをいただくこと。
でも稀に、他のデザインを真似することや自分が全くいいと思わない方向へ進む時は‥お仕事といえど、生じる迷い。
そんな時は、ご希望に沿った上で、自分の視点をプラスαして修正をすることが多い。いいと思えないものは、やっぱり作れないという小さなエゴ。でもこのプラスαにデザイナーの力が隠れていると思う。
ご依頼主さんに喜んでもらえて、お客様や周りの反応も良い。そして、自分も楽しい。いつでもそんな風に制作ができたら、もっと楽しくなりそう。
そんな想像をしながら‥今日も、デザインを進めています。