デザイン期間2週間
ふとしたきっかけ(デザイナーは無茶ぶりから)ではじめた、デザインに関する仕事。
今となれば、CDジャケット・コンサートチラシなど音楽業務に関連するものから、名刺・リーフレット・HP制作などは、他業種のものも増え、私の日々の業務の中で、デザインに関する仕事は約7割ほど占めるようになった。
デザインの制作期間は、基本的に「2週間」としている。(※HP制作は除く)
でも実際のところ、制作に「2週間」かかっているわけではない。
まず、残り3割を占めるコンサートの仕事で、土日は終日外出が多い。
そして、他に依頼されている複数のデザイン業務を同時進行で行うので、優先順位を決めながら、構想を練りながら、進めていくための「2週間」。
チラシであれば、作成時間は、実質約1~2日ほど。でも、打ち合わせに行く、メールを返信する、見積もりを作るなど、日々舞い込んでくる業務の中、一人で進めていると、2週間も結構あっという間に過ぎる。
また時に急ぎの案件が入ってくるので、その場合は「お急ぎ対応」として、優先順位をあげて対応している。
先日、とあるチラシの修正に想像以上の時間がかかってしまった。
修正にかかる時間として、自分の見立てでは、1日。でも、実際は‥徹夜しての2日間。
大幅なレイアウト&内容変更があった案件だったが、久しぶりにヤバイと思った。‥これは「デザイナー廃業だな」と、夜中腹をくくった。
徹夜の時、何ヲ思ふ
忙しい時期は、〆切まで1日しかなくても、なぜか「あと1日ある!」と前向きに捉えることができるから不思議だ。
それは、時間を味方につけて落ち着こうとする自分への慰めもあるが、「できる」という見込みが自分にあるからだと思う。
チラシの修正案件。
明確に○日に送りますという約束があったわけではない。でも、3日ほどで送るつもりだった。
その3日の中で、ちゃんと時間をとれるのは1日。
4~5時間くらいでできると思っていたが、これが一向にまとまらない。
依頼主の希望とイメージはわかっている。
見る人へのインパクト&わかりやすさも重要。
それを融合させた着地点がどうしても定まらず、ある種ゾーンに入っていた。この場合のゾーンは、あかんほうのやつ。
見えないゴール
0時を超えると、朝までに送る!という目標に切り替わる。
そう思えば、あと7時間くらい向き合えると、時間的猶予を勝手にもうけて、気持ちを前向きにする。
がしかし、できない。
いつもなら、ある程度悩んでも、ふとした瞬間に「これだ!」というポイントに辿り着くのだけれど、見える気配もなく漂流。
こういう時は、気分を変えよう。
お風呂に入る。お茶を淹れる。背伸びをする。
色んなことを間に挟んでは、冷静な自分を取り戻し向き合うも‥できない。この時点で外が明るくなっていた。
あぁもう、デザイナー廃業かな。せっかく依頼してくれて、お金も払ってもらうのに、申し訳ない。こんなんじゃもう、次の仕事はないな。
そんな気持ちがよぎる。
けど辞めるにしても、このチラシを完成させてからじゃないとやめられへん。
いっそのこと倒れてしまったら、いい訳もできるのにと身勝手に思うも、私の身体は幸い丈夫にできている。
6時半。頭の回転率が下がったこの状態でいくら向き合ってもいいものは生まれない。と、断念。
先方に遅れている旨をメールでお詫びして、仮眠することにした。
ごはん&みそ汁パワー
私は、7~8時間ほどしっかり寝たいタイプ。
特にパソコンに向き合う時は、しっかり睡眠がとれていないと効率が悪い。なので、5時間は寝ることにした。
お昼にふらふらと起きて、ペコペコのお腹に気づく。
昨晩のお味噌汁の残りを温めて、あとは、ご飯にお漬物。疲れた時は、決まってこのセット。
おネギは絶対いれたい派
お味噌汁が身体に染み入る‥疲れた時にもたらすお味噌汁パワーは、絶大だ。
疲れていて眠いけど、身体が起きてくるのがわかる。
食べるコトって大事だなぁとご飯&お味噌汁に感謝しながら、パソコン前の定位置へ戻った。
安堵から続く道のり
睡眠&ご飯でパワーを補給した私は、朝までかかったデザインを見直す。
OKな部分と不十分な部分を判断しながら、再度手を入れていく。ばっさりとやり直した箇所もありながら、仕上がったのが夕方過ぎ。
修正版は、依頼主の要望をどれだけカタチにできたかが肝となる。
「なにこれ?」というものを提出したら、それこそ信用ガタ落ちだ。でも、提出してみないことには“正解”は、わからない。
メールでデザイン案を送って、半日後返信がきた。
「素敵すぎです!最高です!」と添えられていた。
あぁ良かった。
辞めずにすんだみたい。
一気に気持ちは晴れやか
デザインをはじめた頃のことを思い出す。うまく出来なくて、悩んでイライラした私は、隊長にアドバイスを求めた。
「仕事でのストレスは、その仕事を成し遂げることでしか解決しない。」
なんだ、その格言ちっくなアドバイス。
隊長的には「正解が不明確なクリエイティブ系の仕事では、悩みも孤独も、自分で向き合うことでしか乗り越えられない。」と言いたかったらしいが、突き放された感覚になったことは言うまでもない。
今回も「もうあかん。デザイナー廃業やわ‥。」と隊長に話すと「まじか~まぁいいんちゃう~。」と笑っていた。
わが家に優しい慰めの言葉が行き交うことはない。
でも、こうやって続けてきた。これからもきっと、危機を笑って過ごしてゆくのだろう。
まぁ変に優しく慰められても困るので、それくらいでちょうどいいのかもしれない。