春・夏にまいた種が、ようやく実を結び収穫を迎える秋。
以前に書いた「芸術の秋に向けてCD制作期」の音源も、CD製造(CDプレスとも言う)が完了。先日から続々と、リリース(発売)開始となりました。
録音後も作業が続きます
録音後。
その音源ですぐにCDが出来るのでは無く、いろいろな作業を経て、完成版となる。
いろいろな作業というのは、大きく分けて編集、調整、CDマスター盤の制作といったところ。
・調整作業:いくつかの楽器で演奏されている楽曲の場合、それぞれの楽器の音を大きくしたり小さくしたり調整を行う。
・マスター盤制作:調整後の楽曲をCDの曲順に並べてマスター盤(CD製造会社/CDプレス会社に提出する、量産の元になるCDのこと)を制作する。
これらが録音後に続いていて、スタジオにこもって一人作業を進めている。
この「差し替え」の編集作業。
差し替えたことがわからないようにするのが中々大変である。
演奏した人が、差し替えに気づかないくらいにうまく出来た際には、「アリカワマジック」なんて言われる。
こちらとしてはテクノロジーの力を使っているだけなので、”マジック”と言われるとなんとも恥ずかしいが、そこは「まぁ、私にかかれば朝飯前でございます。」という表情でいる私。
もちろん差し替えを行う必要の無い場合もあって、一回の演奏で「はい、これでOK。」ということも。そちらの方が、アリカワマジックよりも、凄いマジックなのだ。
うちのスタジオでは、CDに関するデザイン業務も行っているので、その作業も同時に進行する場合も多い。
CDに関するデザインは、ジャケット、帯、バックインレイ(CDケースの裏面に入っているもの)と呼ばれる印刷物や、CDの盤面印刷などである。
デザイン業務に関しては、リスが担当なので基本はノータッチ。
でもたまに、リスから帯のコピー検討を任される。採用割合は半々。でも、この土台作りが微妙に役立つのだ。
みなさん、ジャケットの掲載内容や情報をまとめるだけで大変なので、帯までは中々手が回らない。なので、仮でもコピーを提案すると検討しやすいようで、言葉や表現を一部修正してそのまま完成となるケースが多い。
いわば、仮の土台を作るようなイメージのコピーライティング。
これがなかなか楽しい。糸井重里氏になったつもりで、挑んでいる。
その他、JASRAC(日本著作権協会)への申請のお手伝いをしたりと、音に関する事以外の業務も並行しているのが、当スタジオの制作期間。
半月~一か月という時間差
CDマスター盤をCDプレス会社に提出したら、いざ量産!となるのだが、ここに時間がかかる。
CDのプレスを行っている会社は国内にも、海外にもある。
今でこそ国内プレスの価格が下がってきているので、価格差はなくなってきているが、昔は海外プレスが比較的安価だった。
昔の海外プレスは、安かろう悪かろうのイメージ(といっても、音が悪いとかそういう話でなく、パッケージがちょっと雑な感じがするってところ)だったが、今となってはどこで製造しようが、ほとんど差が無い。
海外プレスは、製造したものを運搬する都合上、国内プレスに比べて時間がかかる。国内プレスなら約二週間程度、海外プレスなら三週間から一ケ月の製造期間が必要となる。
この製造期間についても、今はだんだん差が無くなってきている。グローバルな世の中なのだ。
ちなみに、国内盤、海外盤の見分け方としては、MADE IN JAPANと記載してあるのが国内盤、当然、海外プレス盤にはその表記は無い。当たり前と言えば、当たり前な話でございます。
国内プレスは、安心イメージ高いMADE IN JAPAN表記&制作期間の早さ。
海外プレスは、時間がかかるけど、費用が少し安い。
どっちを選ぶかは、先方さんと応相談。
だいたい国内6:海外4といったところです。
緊張感&ワクワク感
マスターCDが旅立ってから、プレスが完了するまでの間、我が家に漂うのは‥独特の緊張感&ワクワク感。
基本CDのマスターと同じものが量産されるはずなのだが、なぜか「ちゃんと出来上がってくるかなぁ?」なんていう緊張感&ワクワク感が続くのだ。
今まで何枚ものCDの制作を担当させていただいて、何回も同じ経験をしているけれど、この気持ちは今でも変わらない。
無事に、この度もCDが出来上がりました♪
2018年の制作CDは、最多の5枚。ポップスにクラシックとジャンル豊かなCDたち。
次は、CDが皆様の心に届きますように…と、旅立ったCDに想いを馳せるのだった。