それぞれの業界には、その業界ならではの共通語や単位なんかがある。
以前に働いていたいたソフトウエア開発業界では「バグる」なんて専門?用語や、「ビット」「バイト」なんていう単位を表す言葉があった。
事件は現場で起きている?
ここ数年、コンサートの音響を担当させていただく機会が多くなった。
コンサートでは、舞台監督さんのもと、舞台さん、照明さん、音響さんらが協力して舞台の準備/設営をする。
舞台設営時には、それぞれの分野での専門用語が飛び交っている。
また、分野での専門用語の他に、舞台用語という独特な共通語もある。
舞台用語には、なかなか迫力のある言葉があって、
「コロす」動かないように固定する。
「なぐり」金槌、トンカチのこと。
なんかがあるのだが、これが連続して使用されると…
反社会的組織映画ですか?というダークな世界に突入である。
しかも、最近は若い女性で舞台の仕事に就いておられる方も多く、その中で、そんな単語が行き交うのを見ると、なかなか迫力のある職場だと思ってしまう。
そこはもうちょっと今風な言葉で表現していただければ、ソフトな雰囲気の職場になるのに…なんて思う。
おかしいぞ。
余計に変な雰囲気になってきた。
寸、尺、 丈、間
舞台用語には、「間(けん)」という長さを表す言葉もある。
「一間(いっけん)」ってどのくらいの長さかご存知でしょうか。
この「間」という単位。
コンサート会場になるホールや会館の舞台で、標準語のように使われている。
舞台では、この「間(けん)」の他にも「尺(しゃく)」という単位も使われる。
※訳すと「舞台の横幅が約11m、奥行きが約7m。客席から見えるように、舞台装置を組む/演奏者が乗るために用いられる平たい台を重ねて、30cmほどの高さにして…」
メートル法の中で生きてきた私。
今でこそ、コンサート業務なんかで耳馴染みもできて少しは慣れたが、毎度、宙を仰いでいる者がいる。音響の猫の手(アシスタント)の傍ら、時に舞台設営のお手伝いをするリス@私の相棒である。
リスは、数字が大の苦手。
算数がそもそも要注意レベルで暗算もままならない。したがって、この単位変換が苦手なようである。
「リスさん、そこの奥行きが四間なんで、真ん中にバミっておいて~(ばみる=印をつける)」なんて時は‥
「え~っと、一間は約1.8mなので、四間だと4倍して…(少々時間経過)約7m!その半分だから~約3.5m!」頭の中で変換が終わった頃には、だいぶ舞台設営が進んでいたりする。
「リスさん、そこの長さが六間四尺なんで、三分割してバミっといて~」なんていわれた日にゃ、きっとスマホの電卓で計算をはじめるに違いない。。
郷に入っては郷に従え。
リスには申し訳ないのだが、舞台設営時、私も音響の仕込みの手を止めるわけにもいかない。
したがって、音響席からあたふたするリスを、微笑みながら眺めている以外に方法はないのである。