差し入れ・プレゼントの向こう側
コンサート会場では、差し入れやプレゼントをよく見かける。
多いのは、お花とお菓子。
お菓子は日持ちのするものが多く、お花は、アレンジメント・花束・鉢植え・スタンド花など、コンサートの規模や種類によって、お花のラインナップが変わる。
ピアノの発表会であれば、小さなお友達が、はにかみながらブーケを渡す様子が微笑ましい。
この差し入れ&プレゼント。
コンサートが終了する頃、お持ち帰りされるわけなのだが、時には、持ち帰りが困難という場面を見かける。
例えば、立派なお花のアレンジメント。
車でお越しの場合は、なんとか積んで帰れるのだけれど、電車・バス移動、また、新幹線や飛行機移動の方は、持ち運びができない時もある。
もちろん、いただいたものを何とか持って帰ろうとあれこれ思案される。
だけど、そもそもコンサート開催にあたり、ドレスや靴などの衣装、プログラムやCDなどの販売関連品、その他多くの準備物を持って移動しているので、どうにも持ちきれないのだ。
ホール管理スタッフをしていると「どうしても持って帰れないので、ホールに飾ってもらえませんか?」と、お声がけいただく時もしばしば。
遠征続きだと、配送も難しい場合がある
また、たまに見かけるのが「ナマモノ」の差し入れ。
ケーキやシュークリームなど、要冷蔵のものは、これまた大変。
「デザートにどうぞ~」というお気遣いも、昼食や軽食は前もって手配しているので、お腹的にも食べ切れない。そして、食べる時間もない。
保冷剤にも限界はあるし、冷蔵庫がない場合もある。これまた、誰か食べてくれる人探しがはじまる。
ホールを借りてコンサートをしている時は、借りている時間内に退出しなければいけない。バタバタ忙しい搬出時に、ナマモノも行ったり来たり。
この状況に疑問を感じた私は「なんで、ナマモノを差し入れに選ぶのでしょう‥?」と独り言のようにつぶやいていたら、「絶対食べなきゃいけないからよ。」と教えてもらった。
‥なんと、恐ろしい。
好意を伝えたい気持ち
差し入れをする時って、どんな気持ちだろうか。
お花の場合は「コンサートの開催おめでとうございます!」といったお祝いの気持ちが多いと思う。ロビーにお花がたくさん並ぶと、とても華やかだ。
お菓子などは、個別包装されているものも多く「スタッフの皆さんで、どうぞ。」と一言添えられていることも多い。
差し入れ
慰労や激励などのため、飲食物などを届けること。また、その物。《goo辞書より》
芸人・キングコングの西野さんは「僕は差し入れは入りません。」と再三、呼びかけておられる。
それでも、差し入れをする方が後を絶たず「差し入れは迷惑です」とはっきり断言。ここだけ聞くと非情な人のように思うかもしれないが、西野さんとしては‥
体調管理の為、食べ物の差し入れは食べられない。
↓
捨てるのは嫌。
↓
食べてもらう人を探さなければいけない。
また、移動を控えている時に差し入れをもらうと「持つ」任務が発生する。
身軽に移動しようと荷物を工夫していたにも関わらず、手がいっぱいという事態を生む。
中には「いらなかったら捨ててくれたらいいので。」と手渡す人もおられるそうで、「捨てる」という作業までも課してしまう。
「捨てるのは嫌だから、いらない。」というと「じゃあ何だったらいいですか?」と。
相手の気持ちより、自分の想いが溢れ過ぎている。
それでも、差し入れをしたいのは “ 好きです。応援してます。” という気持ちで、自分の想いを届ける術として、差し入れという手段をチョイスしているとわかる。
だけど、相手がいらないというなら「あげない」が正解。
それでもあげたいというのは、自己満足の領域で、もらう側としても「迷惑です」とは言いにくい。
また、ナマモノや手作りの食べ物は、衛生管理や体調管理上、特に扱いが難しく、廃棄されることも多い。
でも、せっかくもらったから、もったいないから、と食べ物は粗末にしたくない気持ちは皆あるし、捨てることは精神的な苦痛にもなる。
かといって、食べなきゃいけない状況で食べるのは、味を感じる前にツライ。
もちろん、差し入れによって、出演者やスタッフの士気があがることもある。
差し入れは、状況とタイミング、そして、関係性が鍵を握ると思う。
喜びは多種多様
日本の差し入れ・手土産・お返しなど、贈り物の文化。
相手を気遣うコミュニケーションとして素敵な風習でありながら、ひとつ間違えば、困らせてしまうことにもなるからムズカシイ。
私がコンサートに行く時、知り合いやお世話になった方であれば、差し入れを持っていくこともある。
でも今思えば、差し上げたいという自己満足があったかも‥と、少々反省も。
差し入れのマイ基準は、“日持ちがする” “ 迷惑にならないだろうもの”であること。
もちろん、その方の嗜好に合わせて選ぶ。でも、必要でなければ、誰かにあげられるというのが大きなポイント。
せっかくあげたのに人にあげるなんて!なんて気持ちは微塵もない。必要な場所に流れて、全然いい。
でも最近、栄養学を学んだことにより、食べ物をあげるって難しいと気づいた。
この飽食の時代、よほど管理している人でなければ、“食べすぎ”パターンが多い。良かれと思って渡したものが、残念ながら、身体にとっては良くないこともある。
もちろん、差し入れが嬉しい人は多い。お菓子をもらって喜ぶ人もいるし、お花が喜びの人もいる。
ただ、喜びは多種多様。
差し入れがいらない人は、遠慮ではなく本当にいらないと思っているし、その想いも尊重されて良いのではないだろうか。
コンサートの場合、一番喜ばれるのは、チケットを買って来場すること。
応援しているという気持ちは、チケットを購入し、予定を調整して、コンサートに足を運んでくれるだけで、充分伝わるしありがたい。
もっともっと応援したいと思う時は、
・もう一枚チケットを買って友達も連れて行く。
・CDやDVDを買う。
・ファンクラブに入る。‥etc
興行や作品にしっかりお金をおとす。これが一番だと思う。
それは、必ず応援している人に巡り、次の推進力になるから♪
(^^)d 確かに。次の移動のある方にはしないか、カードだけ。なま物はいくら好きでもどうしようってなりますねf(^^; バンビちゃんは退かなかったんですね。いいなあ、じっくり見られて。鹿さんたち、事故だけは気をつけて欲しいですね。
コンサート本番の日は、スケジュールがタイトなので食べる時間がなく、夜は打ち上げに行かれるので、ナマモノはなかなか難しいです。お好きな方には、後日お疲れ様~♪で届けてあげると喜ばれるかもしれないですよね。
バンビちゃん、ぴょんぴょんと跳ねてお山の斜面を登っていきました。可愛かったです。車と猟師さんに気をつけるのよ~と心の中で声をかけています。