思考の素

Keisuke Kuwata / 桑田佳祐

今まで一番良く聴いたCDかもしれない。
プロデューサーという仕事があることは知っていたが、初めて意識して聞いたCD。30年以上前の音源なのに、まったく古さを感じない一枚。

 

Keisuke Kuwata / 桑田佳祐   (1988)

今、聞いても新鮮度 ★★★
サザンオールスターズと同じ度 ★☆☆
ちょっと何って歌ってるかわからない度 ★★★

 

隊長の視点

音楽CDのジャケット(CDの中に挟まっている歌詞やら、アーティストの写真が載っている印刷物)の中に、見かけるProduced by 誰々。

「桑田佳祐氏のソロアルバムといっても、ある程度はサザンオールスターズの延長のバンドサウンドなんだろうな」と思っていたら、全然そんな感じが無かったのに驚いた。

もしかして、これがプロデューサーの力によるものではないのか?とプロデューサーの役割を考え始めるきっかけになったCD。

いろいろと解釈はあるだろうが、家にある音楽ビジネスの専門書によると、「プロデューサーは、アーティストから最大限のモノを引き出し、すべてを管理する責任を持つ人のことをいう」なんて堅い表現で書いてある。

私流の解釈で言うと「なんとなくあの辺りに行きたいと思っているアーティストの明確な行き先を決めて、船を選び、乗りこみ、時には海図を描き、舵を取り、その行き先の地に運んでくれる人」なんじゃないかと思っている。

このアルバムのクレジットは‥Produced by Keisuke Kuwata, Takeshi Kobayashi, Takeshi Fujii .

ジャケット内の写真にも桑田佳祐氏と一緒に写る二人。

Takeshi Kobayashi=小林武史。
Mr.Children,サザンオールスターズ,マイリトルラバー,レミオロメン,Salyu・・・歴代のヒットメーカーを手掛けるプロデューサーである。

サザンオールスターズ名義のアルバムとは違って、このCDはバンドサウンド要素は少な目。

全体的にコンピューターを使用した打ち込みで作られ、サザンのCDとは一線を画している。打ち込みで作られているという制作手法からか、編曲・楽器の音色まで、緻密に考えられ、より細部まで気を配られている印象を持った。

収録曲の中で、私のお気に入りは1曲目の「哀しみのプリズナー」と6曲目の「いつか何処かで(I FEEL THE ECHO)」。

「いつか何処かで(I FEEL THE ECHO)」は、JAL「JAL’88沖縄キャンペーン」イメージCMソング。

映画の挿入歌にもなった。ローランドという楽器メーカーのTR808というリズムマシン(ドラムの機械みたいなもんです)の独特な音色が特徴的。

「哀しみのプリズナー」は、アルバムの一曲目なのだが、シングルカットもタイアップも無し。

知ってる人は知っているという感じの曲なのか?昔、サザンファンの後輩とカラオケに行った際に、この曲を選んだら「誰の曲?」という失礼な発言が出た。

2002年に行われた桑田佳祐のソロドームツアー。
当時、友人がファンクラブの会員でチケットを入手してもらい、運よく最前列で観る機会を得た。

その際に「哀しみのプリズナー」が演奏された時には、一人「うわぁ~~ぉっ、きゃ~っ」となるも、周りの反応は「わぁ~」程度な感じだったという、世間と自分の好みが乖離しているのを知った思い出の曲。

30年以上前の音源なのに、今でも、まったく古さを感じない一枚。
難点は、歌詞カードを見ながらでないと詳細な歌詞が追えないという点かもしれない。

KEISUKE KUWATA

Keisuke Kuwata / 桑田佳祐 (1988)

1. 哀しみのプリズナー
2. 今でも君を愛してる
3. 路傍の家にて
4. Dear Boys
5. ハートに無礼美人 (Get out of my Chevvy)
6. いつか何処かで (I feel the echo)
7. Big Blonde Boy
8. Blue ~ こんな夜には踊れない
9. 遠い街角 (The wanderin’street)
10. 悲しい気持ち (Just a man in love)
11. 愛撫と殺意の交差点
12. 誰かの風の跡

2001年にリマスター盤が発売され、価格も少し安くなっている。Amazonのレビューを見ると★五つ、四つが並ぶ。

近年購入している人も多く、今もなお売れているということもすごいことだ。


<Pick Up!!>

ストリーミングでも聴けますが。お手元に一枚の際は是非♪

ABOUT ME
Taicho
studio untrapのサウンド担当。美容院の息子に生まれた影響からか。第一印象の人当たりは良し。「早く家に帰りたい」と「大丈夫、何とかなるじゃない~」が口癖。無難かつ合格ラインを見極めて進む『良い塩梅』派。
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