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何の楽器が聞こえる?-楽曲解析のススメ-

リスが応募した星野源PopVirusコンサートツアー
いよいよ2週間後に迫り、リスは楽曲の聞き込みに余念がない。

先日も仕事で現場に移動する車中、例のよって例のごとくBGMは星野源氏。

 

 

何十回?いや何百回、聴いただろう。
そう2017年に”恋ダンス”で日本で一大ブームになった、あの「恋」が流れてきた。

聴いているポイントはどこ?

隊長:「『恋』のギターって、コードだけじゃなくって、ちょっとしたリフみたいなやつに特徴があるよね。それだけで、ある種、世界観っていうか、雰囲気を醸し出してるっていう感じよね。」

リス:「えーっと、どこのこと?間奏じゃないよね?そんなギターあったっけ?」

隊長:「ちょっと巻き戻して、サビのところから聴いてみて。”♪” あ~ここ、この右側で鳴ってるやつ。」

リス:「ほんまや。こんな音が入っていたんや。」

 

 

リスと話をしていると、どうやら聴いているポイントが違うということに気がついた。

そこから話は「いったい楽曲の何を聴いているか?」という話題へ。

リスは、どちらかというと歌詞や曲全体。
隊長は、どんな音がどんなふうに入っているかという構成(楽器や楽曲の仕組み)に注視。

そもそもの聴き方が違うというコトが発覚した。

「っていうか、一般人の耳には、そんなにたくさんの音や楽器の存在に気づけないよ。」とリスは言う。

例えば「この楽曲は聞いていて、わくわくする!」という場合、“わくわく”させる要素が散りばめられている。

それは、リズムの刻み方、アクセントとなる音色の存在、前に出る楽器が途中で変わったり増えたりと、主要に聞こえている部分の周りをしっかり彩っている。

この要素や工夫が聞き手の印象を左右していくのだ。

何故、そんな聴き方に?

専門学校時代。
ミュージックプロダクションの授業で、楽曲解析についての講義があった。

 

 

その際「サウンドエンジニアになる上で、重要なコトがある。それは楽曲の解析能力だ。」と言われた。

先生が言うには‥

・曲の印象はどう?…大きい?小さい?ポップ?派手?明るい?メロウ?暗い?
・曲を印象つけているものは何か?楽器、フレーズ、歌、歌詞?
・イントロはどんな出だし?サビは何回繰り返されている?曲の終わりはどうなっている?
・左側からギター、右側からピアノというように、楽器が何処に配置されている?
・そこに、その音があるには何かしらの理由がある。その理由を考えよう。…等々

 

楽曲を解析するにあたって、まずは考えてみる。

加えて「トレーニングを行うための素材は、世の中に溢れている。レコ―ド、CD、ラジオ放送…それを活用しない手はない。」ということ。

それからは、音楽を聴く時に、楽器編成、楽曲構成、特徴的なコトに気をつけていくようになっていった。

そこから何年何十年、いつの間にかそれが普通になり、解析は今もう癖のようなもの。演奏楽器の種類を聞き分ける耳も同時に鍛えていたようだ。

おもちゃ開発で役に立つ?

専門学校を卒業してから、なんだかんだあって、結局サウンドエンジニアの職に着くこともなく、ゲーム・おもちゃの開発業務についたのだが、その時、この楽曲解析が仕事で役に立った。

それが、カラオケおもちゃの開発。
カラオケボックスをご家庭にというものだ。

 

 

さすがに、おもちゃなのでカラオケボックスのクオリティの比ではないのだが、おもちゃなりに誰が聴いても「あ~この曲は、この音が無いといけないよね~」と感じるカラオケ伴奏を作成しなければならない。

たとえば、北島三郎氏の「与作」だったら、「♪ ~木をきる~  “カ~ッ”」の “カ~ッ”が必須だ。

さらに音数の制限というのがあって、少ない音数で曲を成り立たせないといけなかった。

音数とは?
たとえば、ピアノの場合、単音だったら1音。和音の場合は3~4音。おもちゃ&昔のゲームは、音数が十数音まで等の制限があった。

 

その時に役立ったのが、楽曲解析。

楽曲を特徴付けているモノは何かを考え、必要な楽器だけ残し、曲の印象が変わらないように、伴奏を仕上げていくのだ。

担当したおもちゃは、結構長く販売された。

毎日毎日、曲の解析に追われる日々が続き、その結果、曲を聴く=解析するという習慣がさらに肌にしみついてしまったのかもしれない。

楽曲解析の答え合わせ

試しに、リスと星野源「恋」の楽曲解析をしてみる。

リス曰く、1番はピアノのコードが印象的だけど、徐々に楽器が増えてくると‥ピアノの音を聞き分けられないとのこと。また、特徴的な音色として「二胡」があるが、リスには聞こえていなかったようだ。

 

楽器の演奏配置も解析してみる

 

曲の解析をしたとしても、それが正解かどうかはわからない。

ただ最近は、雑誌やインターネットサイトなどで、制作インタビューの記事が取り上げられることが多い。

“この曲は、ここが聴きどころ” なんて風に、制作者自らが語ってくれる。

自分が「この曲のここが特徴的で、聴きどころだよね~」と感じていたところと、制作者が「ここが制作中に一番大切にしたところ」と言っているのが一致していると、なんだか試験で正解を出したような気分になり、ちょっと嬉しい。

また、その逆もある。
制作者の「ここを聴いて欲しい」という情報を知っている上で聴くと、印象に残りやすいと思う。

人それぞれ、音楽の楽しみ方は自由。

でも、ちょっと意識して「歌以外の演奏を聴く。」「ドラムの音を追ってみる。」なんて、いつもと違う聴き方をしてみると、今までは聴こえていない音が感じられたり(幻聴では無いよ)、新しい発見があっておもしろい。

音楽は聴き方次第で、何倍も楽しめる♪

ABOUT ME
Taicho
studio untrapのサウンド担当。美容院の息子に生まれた影響からか。第一印象の人当たりは良し。「早く家に帰りたい」と「大丈夫、何とかなるじゃない~」が口癖。無難かつ合格ラインを見極めて進む『良い塩梅』派。
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