野良猫を保護するまでの7か月

野良猫を保護するまでの7か月

珍しい野良猫

お山では、多くの動物を見かける。

一番多いのは、ダントツで鹿。大きな角を持つ鹿から、小鹿のバンビまで。そして、うさぎ・イタチ・リス・アナグマ・イノシシなど。

 

リアルピーターラビット

 

知人は我が家周辺を「野生の王国」と呼んでいる。野生動物は家の周りに多いが、野良猫はまずいない。

会話で遭遇率を表すと‥

普通「帰り道、大きな角の鹿がいたよー。」「ふぅ~ん」
驚き★「うさぎを見かけたわぁ。」「どこでー?」
驚き★★「家の前にアナグマがいたで。」「へー昼間なのにねー」
驚き★★★「今日、野良猫がいたんよ!!」「えっどこに!どんな子?!」

これがうちの日常会話。

民家が少ないお山では、お魚咥えたドラ猫~♪みたいに食料を民家から拝借することもできない。野良猫が暮らすのには過酷な環境なのか1年に1回、いや2年に1回見かけるかどうかという程度。

そんなお山に昨年5月末、突如白い猫が現れた。

 

 

それが、全てのはじまり。

観察期(5~8月)

少し小柄で華奢な白い猫。
家庭ごみも見当たらない環境で、あの猫は狩りだけで生きているのだろうか。

お腹空いてないかなぁ。。
試しに玄関の前にご飯を置いてみよう。と、*カリカリを置いてみたら、次の日なくなっていた。

*ドライのキャットフードのこと。猫が食べる時の音から”カリカリ”と世間一般で呼ばれている。

あっ食べてる!と嬉しくなったものの、本当にあの猫が食べてるよね‥とよぎる不安。

調べてみると、庭先に置いていたキャットフードをアナグマやたぬきが食べていたという事例を発見。

 

まさか‥たぬき様?!

 

野生動物にご飯を提供していたとしたら…喜んでいる場合じゃない。ここは調査してみようとビデオカメラを設置して、観察してみた。すると‥

 

 

おそるおそる近づいて、カリカリを食べる白いネコ。よほどお腹が空いているのか、びくびくしながらも全部平らげていく。

よーく見たら、耳が片方まっすぐに切れていた。

 

するどいキャッツアイ

 

去勢避妊をしている猫だとわかるように、耳をカットすることは知っていた。それは、「桜カット」と呼ばれ、桜の花びらのようにV字にカットされたもの。

野良猫の去勢避妊について、詳細に調べると、まっすぐ切る「1文字カット」もあることが判明。そして、オスは右耳、メスは左耳に印をつけるらしい‥おそらくこの猫は避妊手術をしたメスだ。

どんな経緯でここにやってきたのかはわからない。
人馴れしている様子はなく、少しでも近づくと‥「シャァ~シャァ~」と威嚇してくる。

 

車の下は安全地帯

 

過酷なお山での生活を想像する私達。
お腹が空いた時はうちにおいでと、野良猫用のエサ入れが常設されることになった。

 

へっぴり腰 / 食べながらも警戒中

 

名前が無いのもどうかと思い、その白い毛色から「ハク」と呼びことになる。漢字で書くと「白」。なんとも安直なネーミングである。

共存期(9~11月)

1~2日来ない時もあるけど、ほぼ毎日ハクは来るようになっていた。

 

未だへっぴり腰

 

去年は豪雨も多かった。
大雨の日は来なくて、3日ほど経過して小雨になるとやってきた。水が嫌いな猫が多いが、小雨の中を歩く野良猫の姿はたくましい。

いつしか、私達が玄関から出る物音がすると、どこからともなくやってくるようになる。猫の聴力、恐るべし。

ハク~と呼ぶと鳴き声だけ聞こえたので探してみると、木の上にいたこともあった。運動能力は高いようだ。

 

木の上から見張っている?

 

相変わらず、シャアシャアと怒っていたが、知らぬ間に目の前でカリカリを食べるようになっていく。

夏の時期、気になったのが蚊。
何匹もハクの周りにまとわりつく。追っ払ってあげようとするのだが、その動作を誤解されて、猫パンチを繰り出されたこともあった。

せめてものと、玄関先に蚊除けを吊り下げてみるも、全く効果なし。そりゃ森林だらけの山に、ちっこい蚊除けが効くわけもない。

だったら、首の後の皮膚部分に垂らすダニ・ノミよけの薬だけでもしてあげられないかなと考えるも、まだ触れることもできないのに到底無理な話。野良猫の警戒心の壁は高いのだ。

 

気安く近寄らないで

 

出会えた時には、ひたすら話しかける。
お天気の良い日は、スタジオ前で一日昼寝をしていることもあった。

 

 

私達について「ご飯をくれて害はなさそう」と少しづつ認識してくれている雰囲気になったのは、秋もだいぶ深まった頃。

この頃「にゃーん」と少し気を許した“甘えた声”が聞けるようになった気がした。

 

しっぽもピンと上向きに

接近期(12月)

昨年から今年にかけては暖冬の予報もあったが、お山の気候は気まぐれ。

雪が降ると30~40cm積もることもある。そうなると数日はとけない。

その時、ハクはどうなるだろう。
どこかに隠れて寒さをしのげても、さすがに積雪の中を歩くは無理。

リスは雪が降ったらハクはどうなるのか、ずっと心配していたようだった。

もしもの時は、玄関で過ごせるようになったらいいなと少しづつ対策を行うリス。
「いやいや、野良猫が雪の時は玄関で過ごします~♪なんて、どう考えても無理やろ」とは隊長談。

リスの『ハクの玄関シェルター計画』が始まった。

第一段階:匂い付けフリース作戦


まず、玄関先にフリースをいれたダンボール箱を置いてみた。ネット情報で「自分の匂いがついたものは安心する」とあったので、玄関内に入った時に使えるアイテムになるはず。フリース入りの箱の中で、寒さを少しだけしのげるようになったハク。雨の日は利用してくれる率が高かった。

第二段階:カリカリ誘導作戦


次に、玄関エリアの警戒を解くため、カリカリをおいてみた。
さすがに、いきなり玄関でエサを食べるは無理だろうと、だんだん奥へ。いつしか、警戒心はあるものの、玄関でカリカリを食べるようになった。
第三段階:ここは暖かい場所でっせ!アピール作戦

玄関先のフリース入りのダンボールは、気に入ってくれた様子のハク。
次は玄関内に足元ヒーターをつけて、ここは暖かい場所だよ~とアピールするが、リスの思いはまったく通じず。食べたらすぐ外へ出ていく。

それでは、またあした

 

それでも、試行錯誤しながら遂行していくリス。めげない強さは、いつものこと。

 

12月も半ばに差し掛かった頃。
足をふみふみしながら「にゃーん」と鳴いたり、突如、スリスリ体を寄せてくるようになった。

 

目の前でゴロゴロするハク

 

出会って約7か月目。
ご飯を食べている時なら、背中を撫でられるようになり、どんどん近づく距離。

 

手からカリカリを食べるハク(※動画より)

 

そして年末に・・・雪が降った。

雪の日の保護

♂福助 / ♂黒助

 

うちには、4歳になる2匹の猫がいる。
夏頃、予防接種で獣医さんを訪れた時、ハクのことを相談していた。

子猫同士ならまだしも、先に住んでいる猫(先住猫)のいる環境に保護した野良猫を飼うというのは、病気の有無・相性をはじめ、双方にストレスとなる可能性などから、とてもムズカシイと聞いていた。

「たまに現れた時、かまってあげる距離感ぐらいがちょうどいいんじゃない。」というのが隊長の思考だ。リスは「交通事故に合うかもしれない。蛇に噛まれるかも。」と取り合わない。

まとまった雪が今季初めてふった、年末のある日。
この日は、昼間から降雪。隊長は、朝から収録の仕事で外出中だった。

 

 

このまま降り続いたら、お山に帰れないかもしれないという様相だった。隊長がお山に帰ってこれないことよりも、姿を見せないハクを心配するリス。

辺りが暗くなった頃、鳴き声が聞こえた。

 

顔を汚して登場したハク

 

積もった雪に足を埋もらせながらやってきたハク。暖めた玄関にいれてあげて、カリカリをあげる。

夜はまだまだ雪が積りそう。
今しかチャンスはない。

そう思ったリスは・‥そっと玄関の扉を閉めた。

突如、玄関に閉じ込められたハクは、最初「ビャービャー、ギャーギャー」と鳴き騒いだ。

野良猫にとって、保護されることは幸せかどうかわからない。
自由に外も歩けないし、思うままに過ごせない。ただ、雨風防げる場所でご飯を食べて、交通事故の心配はないはず。

ハクと話せるわけではないので、どれだけ想いを巡らせても、結局、人間のエゴ。

もしものもしも。
どうしても家に馴染めなかったら、予防接種とダニ・ノミ予防だけでも‥と思い、突如閉じ込められて泣き叫ぶハクをなだめる。

すると、しばらくしたら、ハクの様子が急に変わったのだ。

そこから1週間。
ハクとの壮絶な日々が続く‥来週は「保護してからの一週間」編をお送りします。

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