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温度と湿度との戦い

梅雨から夏にかけて、悩ましいコト

週末、逆走台風と呼ばれた台風12号が近畿を通過。
滋賀県大津市の山の中も、まぁまぁの風と雨。

隣家のプレハブの屋根が飛んでくるんじゃないかと心配していたけど、杞憂に終わったようで一安心。週明けの今日は、朝から出張の録音業務に勤しんでいる。

梅雨から夏にかけてのこの時期は‥なんとも頭の痛い期間。
悩みの種の原因は “湿気と温度”。

 

 

この時期のコンサートや録音は、湿気と温度との戦いでもある。

湿気が及ぼす影響

湿気は楽器の天敵。
だけどここは、湿気大国・日本。

湿気が多い梅雨~夏の時期には、チューニングが安定せず(特に弦楽器)四苦八苦されておられるリハーサル風景をよく見かける。

また、ピアノ発表会などでも「リハーサル中は特に問題なかったのに、お客様が入場されて湿度が上がるとピアノが別物になってしまった」なんていう話も聞く。

ピアノ調律師さんから「温度より湿度の方が、調律が狂う要因になる」というお声も。

秋から冬にかけて、からっとしている気候の時の方が調律やチューニングの安定しているし、私も聞いていて‥楽器の鳴りが夏に比べていいような気がする。

“芸術の秋”には、楽器のコンディションが良い季節なんてことが含まれているのかもしれない。

録音時の温度指定

温度は、音楽家の演奏コンディションにも影響が出やすく、重要な要素の一つだ。
暑すぎると頭がボーっとして集中しにくかったり、寒すぎると演奏動作に影響が出たりする。

録音するにあたって、いろいろな事を指定されたり、注文されることがあるのだが、今まで一度だけ‥

「録音時の室温は〇〇度にする」と指定されたことがある。

詳しい理由はちょっと不明なのだが、その方が録音される時は常にその温度で収録を行っておられるらしく、いつもと同じ温度下での収録を希望された。

その時は温度だけの指定だったが、同時に湿度も指定されていたならば、どうだっただろう。

湿度コントロールは一筋縄ではいかない。
エアコンエンジニアを同行させて、温度と湿度をシビアに調整するなんてことになっていたかもしれない…って、そんな職業はあるのか?

音響機器にも影響が出ます

音響機器には、正しく動作する温度・湿度が示されている。

取扱説明書の中に「使用温度範囲 0 ℃~+40℃」とか「使用温度:5℃~40℃湿度:30%~90%(結露しないこと)」と書かれている。その範囲を超えると、正しく動作しない可能性があるということだ。

夏の野外イベントでは「熱中症対策は、人だけでなく、音響機材にも!」なんてことが必須なのである。

また湿気は音響機材にも大敵。
もちろん、うちのスタジオも湿気対策を行っている。

結露防止などの観点から急激な温度差を避け、スタジオ内をじんわり温めたり、冷やしたりしている。我が家にエアコンはないが、スタジオには完備。スタジオと機材は、住人よりも丁重な扱いなのだ。

マイクは、レコーディングが終わったらいつも「デシケーター(防湿庫)」へ。
このデシケーターというのは、カメラマンの方がカメラを保管するのに使用しているものと同じ。

 

 

マイマイクを持っているミュージシャンの方。
マイクのコンディションを保つために、湿気対策をするのがオススメ。

使い終わったマイクは黒いチャック付きのマイクケースに入れっぱなしよりも「除湿材&タッパウエア」にて保管するほうが、湿気コントロールには良い◎

野球人がグローブをお手入れするように、
演奏家が楽器のお手入れをするように、
歌い手はマイクのお手入れを。

自分の声を客席に伝えてくれる相棒を、大切にしてあげてくださいませ。

しっとりとしたバラードを歌う際には‥
しっとりは歌声だけ。マイクはからっとがエンジニアからの希望である。

 


Pick up ♪
マイクやカメラを湿気から守ってくれるデシケーター(防湿庫)。どうせ買うなら、大きめのモノがオススメ。

有名なのは、東洋リビング製ですが、他にも優秀な製品も多し。

ABOUT ME
Taicho
studio untrapのサウンド担当。美容院の息子に生まれた影響からか。第一印象の人当たりは良し。「早く家に帰りたい」と「大丈夫、何とかなるじゃない~」が口癖。無難かつ合格ラインを見極めて進む『良い塩梅』派。
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