いつも社長への接客を

いつも社長への接客を

販売員時代

私は20代の頃、大阪の百貨店で販売員をしていた。

特にやりたいこともなくて、派遣社員を転々としていたが、とあるハンドバッグブランドでは約4年半程働いた。この頃に経験したことは、私にとって、とても重要で大切なもの。

勤務していたのは、海外のバッグブランド。
春夏と秋冬の年2回新作が出るたび、研修にいって‥商品のこと・トレンドのこと・ディスプレイの仕方などを勉強した。

 

カラートレンドも年によって様々。

 

指導してくださる方は「毎日帰宅したら、バッグから中身を出して、明日の洋服に合わせてバッグをチョイスしましょう」と笑顔で話す。

バッグもファッションの一部。
めんどくさい気持ちがありつつも‥バッグを大切に思い、ファッションを楽しむ感覚を初めて知った。

着飾ることも少なくなった、お山暮らしの今。
バッグを毎日替える感覚は薄らいでいるものの、ドラマを見ていても「どこのバッグかな?」と確認したり、当時の感覚が今もすこーし残っている。

接客マニュアル

たいてい接客には、マニュアルが存在する。

お客様が店内に入ってこられたら「いらっしゃいませ。」
店内を見ておられたら「どうぞ手にとってご覧くださいませ。」
商品を手にしたら「どうぞ鏡に合わせてみてください。お色違いもございます。」

といったような、このタイミングでお声がけをしましょう、といったものがある。

私はこれが大変苦手だった。
自分がお客様の場合、この手のお声がけがとても苦痛。もっと積極的に話しかけてこようもんなら、帰りたくなる。

中には、お話もお買い物の楽しみ♪というお客様もいる。
でも明らかに、そっとしておいて‥という感じの方にまで、マニュアルどおり話しかけるのはとても気が引けた。

付かず離れず、何か聞きたいそぶりを感じた時は、すかさず近くへ。できるだけ普通の会話がしたいし、また来よう♪と思ってもらえる店内の雰囲気を作っていたい。

店長は、そんな私のジレンマをわかってか‥
時には積極的に行くことも教えてくれたし、私のペースも見ていてくれた。

入社して1年目のスタッフだけが対象となるロールプレイング大会があった。

ロールプレイングとは、販売員役とお客様役を設定しロール(役割)をプレイ(演じる)こと。

色々な想定をして、店長や先輩スタッフさんにお客様役をしてもらって練習。

緊張して望んだ大会。成績は優勝。
参加者は10人もいなかったと思うけど、それでも嬉しかった。これも店長のおかげ。

 

社長の訪問

 

時々やってくる緊張の日・その1。新人スタッフの訪問。

新しいスタッフは、事前研修を受ける。
その帰りに店舗へ行って何か質問をして接客を体感し、次の日の研修にて発表という流れがあった。

新人研修が行われている日は事前にわかるし、何よりそれらしい人はすぐわかる。服装に雰囲気、あと質問内容。

唐突に「このバッグ、汚れたらどんなお手入れしたらいいんですか?」と聞いてきたりすると、この人だなとわかる。次の日にどんな報告をされるのか‥少し緊張を覚える瞬間だった。

時々やってくる緊張の日・その2。社長訪問デー。

東京の本社から、社長はじめ偉いさんたちが視察にやってくるということが時々あった。

こちらも訪問予定が事前に大体わかるので、心構えはできるものの‥

接客中に訪問されたら、接客について何か言われないかな。
お客さんがいない時だったら、何か質問されてちゃんと答えられるかな。

心配性の私は、そんなことを考えてはドキドキしていた。

「明日社長が来られるので、きちんと準備して、ちゃんとしなきゃ。」と、店長に話したら‥「いつもどおりでいいよ」って、ひとこと。

あの時のハッとした感覚は、よく覚えている。

いつでもベストな接客

大阪駅ほど近くの百貨店だったので、時々芸能人の方も来られていた。

私はそんな日に限ってお休みだったので会えなかったけど、そういう話は耳にしていた。

もし、大好きな芸能人が来店したら。
もし、恋人のお母さんが来店したら。
もし、社長が来店したら。

何か特別な感情が加わる時、いつも以上に頑張ろう!しっかりしなきゃ!って思う気持ちがどこかに出てくる。

店長のひとことを聞いて、そんな自分を少し恥ずかしく思った。
自分にできるベストな接客をしていれば、どんなお客様がいつ来られようとも、何も困ることはない。

普段手を抜いているつもりはなかったけど、いつも以上を意識するということは、どこかで+αのサービスをしたり、良くみせようとしている自分がいるのも事実だった。

この販売員時代に得た経験は、今思えば特別。
その時はただ必死だったけど、百貨店で出会うお客様は多彩だったし、びっくりするようなクレームにも立ち会った。

その中でも、店長と先輩スタッフさんから教わったコトやたくさんの経験は、今の私を作る大きな要素となっている。

 

 

いつも社長への接客を。
店長がそう言ったわけではない。それは私の中に芽生えた、小さな意識。

いつも大切な人に接する気持ちで、どんなお客様にも接することができたら‥いつでもベストな接客とサービスが提供できる。

そんな意識になってから‥日々繰り返される接客が、より大切に感じられて少し楽しく向き合えるようになった気がした。

私の小さなターニングポイント♪

リスノ巣箱カテゴリの最新記事